人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

小説から表現、描写を学ぶ

柚月裕子さんの盤上の向日葵の描写

盤上の向日葵(上) (中公文庫) 作者:柚月裕子 中央公論新社 Amazon 同じ東北でも、岩手よりさらに北の土地は、まだ冬の真っ只中だった。目の前に見える青森湾が灰色に沈んでいる。同じ色をした寒々しい空に、数羽の白鳥が飛来していた。 頭に被っている白い…

白い喉を見せて心持ち顎を上げている。

いっちみち乃南アサ短編傑作選 (新潮文庫) 作者:乃南 アサ 新潮社 Amazon 彼女は目を閉じたまま、白い喉を見せて心持ち顎を上げている。

男性の表現、描写

新参者 (講談社文庫) 作者:東野 圭吾 講談社 Amazon 男性客は加賀と名乗った。そう言われて改めて彼を見ると、優しい表情の裏に隙のない精悍さが潜んでいるように思われた。 護られなかった者たちへ 作者:中山 七里 NHK出版 Amazon 対する六十代の男は頭頂部…

有川ひろさんのアンマーとぼくらの表現、描写

アンマーとぼくら (講談社文庫) 作者:有川 ひろ 講談社 Amazon 「寝てていいよ、飛行機長くて疲れたでしょう」 車を出したおかあさんに「大丈夫」とは言ったものの、小さな渋滞に引っかかって流れる景色が停滞すると、眠気がゆるやかに押し寄せてきた。 「リ…

横山秀夫さんの陰の季節の表現、描写

陰の季節 D県警シリーズ 作者:横山秀夫 文藝春秋 Amazon 三橋は、その巨漢をソファに同化させていた。ベルトを緩め、ズボンのチャックも中程まで下ろして下腹の肉を解放し、丸太のような両足をテーブルの上に投げ出している。 ちょうど遠山は、犬の散歩から…

岡崎琢磨さんの珈琲店タレーランの事件簿の表現、描写

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を【電子版イラスト特典付】 (宝島社文庫) 作者:岡崎琢磨 宝島社 Amazon ふせたままの彼女の瞳から、哀しいきらめきが生み落とされたからだ。 隘路に吸い込まれる直前、《タレーラン》からもれ…

中山七里さんの護れなかった者たちへの表現、描写

護られなかった者たちへ 作者:中山 七里 NHK出版 Amazon これは熟練の刑事の目だ、と思った。八年前の取り調べで嫌というほど味わった、あのねっとりと身体に纏わりつくような視線だ。およそ外見を信じず、己の経験と嗅覚だけを頼りに獲物を嗅ぎ分ける猟犬の…

原田マハさんのまぐだら屋のマリアの表現、描写

まぐだら屋のマリア 作者:原田マハ 幻冬舎 Amazon 女将の胸に抱かれて、マリアは泣いた。真珠の粒のような涙が、赤みのさした頬をすべり落ちる。女将の口もとにふっと微笑が点った。 克夫がにじり寄り、女将の背を支えて静かに抱き起こした。女将はようやく…

痩せている上に姿勢が悪いので、貧相な印象のする男だった

担任は石部という国語の教師だ。痩せている上に姿勢が悪いので、貧相な印象のする男だった。言葉もはっきりしない。いつも口の中でもごもごいっているだけなのだ。 東野圭吾さんの同級生より

東野圭吾さんの同級生の表現、描写

同級生 (講談社文庫) 作者:東野 圭吾 講談社 Amazon 面白くない校長の挨拶が延々と続いている間、彼女はじっと前を向いていた。熱心に聞き入っているというよりも、流線形のその目は、どこか遠い国の風景を思い浮かべているように見えた。 俺の足音に気づい…

村上春樹さんのノルウェイの森の表現、描写

ノルウェイの森 (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon 秋のはじめの、ちょうど一年前に直子を京都に訪ねたときと同じようにくっきりと光の澄んだ午後だった。雲は骨のように白く細く、空はつき抜けるように高かった。また秋が来たんだな、と僕は思った…

東野圭吾さんのさまよう刃の表現、描写

さまよう刃 (角川文庫) 作者:東野 圭吾 角川書店 Amazon 川崎はせせら笑いを浮かべ、三白眼で誠を見つめた。 やってきた二人の刑事の年上と見られるほうは川崎と名乗った。眉が薄く、目つきの鋭い、冷淡そうな顔をした人物だった。 鮎村は唇を噛むと、右手で…

原田マハさんの旅屋おかえりの表現、描写

旅屋おかえり (集英社文庫) 作者:原田マハ 集英社 Amazon 震えるまぶたを閉じた瞬間、ひと筋の涙が頬を伝って落ちた。 どんぐり眼に表面張力でなんとかへばりついていた涙が、堰を切ったように流れ出した。 「結婚してから、まあ、いろいろあったんだ。いろ…

東野圭吾さんの沈黙のパレードの表現、描写

沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13) 作者:東野 圭吾 文藝春秋 Amazon 窪んだ目と尖った顎、薄い唇が酷薄そうな雰囲気を発している。他人とは距離を置いているのか、皆から離れたところで煙草を吸っていた。 陰鬱なオーラを発し続けている彼の姿を見ていたく…

原田マハさんのアノニムの表現、描写

アノニム (角川文庫) 作者:原田 マハ KADOKAWA Amazon 玉蘭が、思い切り首に抱きついてきたのだ。 ほんの一瞬の出来事だった。けれど、彼女の甘い香りとやわらかな体の感触が、英才の全細胞に沁み入ってきた。 はるかに青くかすんで見える台北の街。小さな機…

坂木司さんのシンデレラ・ティースの表現、描写

シンデレラ・ティース (光文社文庫) 作者:坂木 司 光文社 Amazon 抜群のスタイルを誇示するような、サイズ小さめのナース服。きゅっと結い上げた髪によって露になる、顎から首筋へのシャープなライン。そしてちょっと意地悪そうな眉に、ぽってりとした厚めの…

東野圭吾さんの分身の表現、描写

分身 (集英社文庫) 作者:東野 圭吾 集英社 Amazon 私は空を見上げた。水晶の粉をばらまいたように、光の粒が黒い空に広がっていた。誰かが私を見守ってくれている。 そんな気が、ふとした。 迎えに現れたのは、骸骨のように痩せた男だった。顔色が悪く、髪も…

東野圭吾さんのダイイング・アイの表現、描写

ダイイング・アイ (光文社文庫) 作者:東野 圭吾 光文社 Amazon 取調官は坂巻という名の警部補だった。眉間に縦縞が刻まれたままの、神経質そうな顔つきの男だ。黒々とした髪をオールバックにしている。むき出しになった額には、うっすらと脂が浮かんでいた。…

東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーの表現、描写

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫) 作者:東野 圭吾 講談社 Amazon 智彦は暗い目をしていた。一瞬唇が、まるで笑みでも浮かべるように曲がった。皮肉な笑いか、それとも自嘲したのか。その表情のまま、ふらりと立ち上がった。そして歩きだす。 …

さだまさしさんの風に立つライオンの表現、描写

風に立つライオン (幻冬舎文庫) 作者:さだ まさし 幻冬舎 Amazon 追い詰められた猛獣のような鋭い目で瞬きをするのも惜しむかのように航一郎を睨みつけたまま、息を潜めていた。 僕は少し寒さに震えながら、痺れるような指先だけで呆然と雨音を聞いていまし…

東野圭吾さんの禁断の魔術の表現、描写

禁断の魔術 (文春文庫) 作者:東野 圭吾 文藝春秋 Amazon 先生は、と鵜飼は続けた。 「ある意味、あの夜から政治家におなりになったと思っております」糸のように細い目から不気味な光が漏れた。「本物の政治家に」 鵜飼の細い目が、ほんの少しだけ見開かれた…

原田マハさんの本日は、お日柄もよくの表現、描写

本日は、お日柄もよく (徳間文庫) 作者:原田マハ 徳間書店 Amazon 私は一瞬もおかずにうなずいた。その拍子に、もうひとつぶ涙がこぼれ落ちた。さっきとは違う、あたたかい涙だった。やわらかな微笑が、彼の頬にほっと浮かんだ。 久美さんは、ひとりぼっちに…

さだまさしさんのアントキノイノチの表現、描写

アントキノイノチ (幻冬舎文庫) 作者:さだ まさし 幻冬舎 Amazon アントキノイノチ DVD スタンダード・エディション [DVD] 岡田将生 Amazon そしてもう僕の心は、この時には完全に氷点に達していた。 ただの八つ当たりなのだが、僕に対する怒気が向こうを向…

東野圭吾さんのラプラスの魔女の表現、描写

ラプラスの魔女 (角川文庫) 作者:東野 圭吾 KADOKAWA Amazon 野性動物のような躍動感と溢れる熱量を、千佐都は全身で受け止めた。ベッドのシーツは二人の汗で濡れた。 ディスプレイの前に、一人の男性が立っていた。痩せていて、顔も細い。やや広めの額に、…

東野圭吾さんの魔力の胎動の表現、描写

魔力の胎動 (角川文庫) 作者:東野 圭吾 KADOKAWA Amazon 受け取った地図を円華は見つめた。ひっきりなしに動く目は真剣そのものだった。 目の奥に不気味な光を宿らせた人物だった。強く見つめられると、瞳の奥に吸い寄せられるような感覚があった。 顔が小さ…

原田マハさんの総理の夫の表現、描写

総理の夫 First Gentleman 新版 (実業之日本社文庫) 作者:原田 マハ 実業之日本社 Amazon 総理の夫 [DVD] 田中圭 Amazon 凜子の瞳の湖に、ふたたび風が吹き渡った。水面が、みるみる急上昇した。 「辞意、撤回なさい」 すっぱりと言った。凜子の瞳が、一瞬、…

横山秀夫さんの顔(FACE)の表現、描写

顔 FACE 〈新装版〉 (徳間文庫) 作者:横山秀夫 徳間書店 Amazon 安奈の意識が戻ったら連絡を寄越すように。そう言い残して、七尾は廊下の闇に溶け込んでいった。 病院の廊下は灯が落ちていた。 非常口を知らせる緑色の常夜灯と、火災報知器の赤いランプ…

原田マハさんの楽園のカンヴァスの表現、描写

楽園のカンヴァス(新潮文庫) 作者:原田 マハ 新潮社 Amazon 織江の笑顔を見るたび、胸が甘い疼痛を覚えることを、ティムはとっくに自覚していた。けれど、それを恋だと認めたくなかった。認めてしまえば、負けなのだ。 「そうですね、またいつでも来られる…

森晶麿さんのかぜまち美術館の謎便りの表現、描写

かぜまち美術館の謎便り(新潮文庫nex) 作者:森晶麿 新潮社 Amazon 木洩れ日のような柔らかな微笑み。 カオリも遅れてイチジクを口にする。 すっとした鼻に抜ける爽やかな感覚と、口内いっぱいに広がる濃厚な甘さが両立している。 「シナモンですね?」 「…

名取佐和子さんのペンギン鉄道 なくしもの係の表現、描写

ペンギン鉄道 なくしもの係 作者:名取佐和子 幻冬舎 Amazon 殺し屋稼業の似合いそうな鋭い目が糸のように細くなって垂れ、嬉しそうに顔をかがやかせた。犬なら間違いなく尻尾を振っているだろう。 「大学はどうしているんだ?」 潤平の問いに、鈴江の目が泳…