人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

東野圭吾さんの同級生の表現、描写

 

 面白くない校長の挨拶が延々と続いている間、彼女はじっと前を向いていた。熱心に聞き入っているというよりも、流線形のその目は、どこか遠い国の風景を思い浮かべているように見えた。

 

 

 俺の足音に気づいたらしく、刑事はこちらを見た。それまでの厳しい表情が、まるで氷が溶けるみたいにほころんだ。

 

 

 佐山刑事は瞬間表情を止めて俺のことを凝視していたが、アイスクリームが溶けるように顔を崩すと、まあまあとばかりに掌をひらひらさせた。

 

 

「どうしたんだ?」俺が訊くと、春美はぐっと唇を結んだ。すると両方の目で涙が膨れ始め、白い頬にぽろぽろとこぼれた。

 

 

「練習ができないと困るんです」

「できるじゃないの。決められた時刻まで」相変わらず金属的な声で喚き散らしてくる。

 俺はうんざりした顔を作った。「だからそれじゃ足りないんです」

 

 

「俺が原因ですか。俺のことが気に食わないから、嫌がらせをするわけですか」

 御崎藤江は細い眉を鋭角に吊り上げた。「あなたのことなんか、関係ありません。規則だからいってるのよ」

 

 

 「キャプテンは誰?」サードベースのそばに立ち、黒板をひっかくような声で中年女性教師は訊いた。

 

 

「おい、西原」灰藤は地獄の底から聞こえてくるような、低い声を出した。「おまえ、そんなことをいう資格があると思ってるのか。宮前は死んだ、そもそもの原因は何だと思ってるんだ」

 

 

 家に帰って玄関のドアを開けると、居間から春美が飛び出してきた。春美はホールの中央に立ち、ものすごい目で俺を睨んだ。その目は兎のように赤くて、あっという間に膨れ上がった涙が、ぽろりぽろりと頬にこぼれた。

 

 

「その人、どんな人だった?」と俺は訊いた。

 おばさんは眉を八時二十分にして首を捻った。「どんな人っていわれてもねえ」

 

 

 緋絽子は俺の言葉を否定するでも肯定するでもなく、ふらふらと視線を動かした。

 

 

 異質な感覚がしたので横目で窺うと、水村緋絽子だった。途端に俺は落ち着かなくなった。彼女と接している部分が、徐々に熱くなってくる感じだ。腋に汗が滲みだした。

 

 

 薫の目が俺の背後に向けられた。振り向くと、水村緋絽子が立っていた。

「お通夜の帰り?」緋絽子は、気取った猫を連想させる目を、真っすぐ俺に向けてきた。

 

 

 担任は石部という国語の教師だ。痩せている上に姿勢が悪いので、貧相な印象のする男だった。言葉もはっきりしない。いつも口の中でもごもごいっているだけなのだ。