人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

男性の表現、描写

 男性客は加賀と名乗った。そう言われて改めて彼を見ると、優しい表情の裏に隙のない精悍さが潜んでいるように思われた。

 

 

 対する六十代の男は頭頂部にわずかな白髪を残した小男で、血走った目で沢見を睨み据えている。

 

 


 病的とも思える青白い顔、広く張り出た額、定規で縦に一本引き下ろしたような硬い鼻筋

 


 老人は谷川の前で立ち止まり、震えで定まらない手を突き出した。黒ずんだ汚れが染みのようにこびりつき、ざらついた皮膚は砂漠に生息する爬虫類か何かのように硬質化してしまっている。

 

 


 男の後ろ姿は街灯の光の輪の中に浮きつ沈みつして遠ざかり、やがて曲がり角に消えた。その消える瞬間、男がふいに駆け出したように見えたのは気のせいだろう。

 


「要するに六十歳の定年まで、ここでお茶を飲んだり本を読んだりしていればいいってわけ。ここまで言えばわかりますよね」
 二人のおやじは白髪とハゲの頭を同じ方向にかしげて、じっと腕組をした。
「ぜんぜんわからん」
 異口同音にそう言った。

 

 

 ミックが髭の浮いた顎を撫で、平面図の横に書かれた断面図を指差す。

 

 ちらりと窓の外を見ると、黒いスーツ姿の男が体を折って車内を覗きこんでいる。白人。三十歳前後。よく日に焼け、耳を覆うほどの長さの金髪がオリーブ色の肌に映えている。

 

 

 その書類の塚を背にして長テーブルに着席していた男が顔を上げた。長く伸びた白い眉、それとは対照的に形よく刈りこんだ真っ白な口髭が研究者然としている。

 

 

 逆三角形の背中には無駄な肉が全くなく、代わりに見事な背筋が緩やかな曲線を形作っていた。それを見るとナユタは、いつも飛行機の翼を連想する。

 

 

 羽原博士は感情を表に出さない人だ。初めて会った時からそうだった。端正な顔立ちで特に目力を感じさせることもなく、黙っている時には唇は穏やかに閉じられている。

 

 大元肇は沈痛な表情を浮かべていった。痩せていて、小柄だ。五十歳前後というところか。無精髭が顎を覆っていた。

 

 ドアが開き、痩せた人物が入ってきた。短く切った髪には、少し白いものが交じっている。顔も細いが、決して貧相ではない。黒縁の眼鏡をかけた穏やかな目元には聡明さが感じられる。

 

 ディスプレイの前に、一人の男性が立っていた。痩せていて、顔も細い。やや広めの額に、白いものが交じった前髪がかかっていた。

 

 

 敷地内を覗いてみると、伸吾はいつもの場所にいた。コンビニの弁当を食べ終わったばかりらしく、ゴミを片付けていた。作業着を脱いでいて、半袖のTシャツ姿だった。むき出しになった二の腕が眩しかった。

 

 白髪混じりの髪をオールバックにしており、四角い顔は大きい。学生時代野球をしていたというだけあって肩幅は広く、見たかぎりでは頼りがいのある親分という印象だ。

 

 

 特許ライセンス部の酒井という部長は、白髪混じりの髪をポマードでぴしりと決め、紺色のスーツを着ていた。スーツのズボンには、定規で引いたように真っすぐな折り目がついていた。

 

 

 サラリーマン風の男で、丸い顔に比べて少し小さすぎるように見える眼鏡が、鼻の下で微妙に傾いていた。

 

 店主と思われる男はカウンターの中にいた。髭を生やし、長く伸ばした髪を後ろで縛っていた。

 

 取調官は坂巻という名の警部補だった。眉間に縦縞が刻まれたままの、神経質そうな顔つきの男だ。黒々とした髪をオールバックにしている。むき出しになった額には、うっすらと脂が浮かんでいた。

 

 

 迎えに現れたのは、骸骨のように痩せた男だった。顔色が悪く、髪もずるずると長い。

 

 

 彫りの深い浅黒い顔。たくましい眉の下の黒い目が、ぎょろりと正面を見据えた。彼の目の前に直立していた白髪の男が、うやうやしく頭を、フランス語で言った。
「ようこそお越し下さいました、ヘロデさま」

 

 

 ドアが開いて、長身のがっしりした体格の男が入ってきた。髪に白いものが目立つが、薄いピンクの開襟シャツが彫りの深い顔に似合っている。落ち着いた感じの男だ。

 

 

 蓮沼は細い目をした、表情の乏しい男だった。話す時でさえ、削げた頬の肉を殆ど動かさない。

 

 窪んだ目と尖った顎、薄い唇が酷薄そうな雰囲気を発している。他人とは距離を置いているのか、皆から離れたところで煙草を吸っていた。

 

 

 左隣には、番通の徳田課長。相変わらずの能面フェイスが、いっそう作り物っぽく貼り付いている。

 

 

 やってきた二人の刑事の年上と見られるほうは川崎と名乗った。眉が薄く、目つきの鋭い、冷淡そうな顔をした人物だった。

 

 

 乾いた唇のまわりにはまるで雑草のようにまばらに無精髭がはえていた。

 

 

 そんな紫紋に、とうとう後輩ができた。浅川悠太。北東北地方の寒村の貧しい家庭に生まれ育ち、家計を助けるために中学卒業後上京、料理屋で見習いを始めたという。赤いほっぺたの童顔のせいで、とても二十歳には見えなかった。

 

 

 大きく張り出した頬骨。猛禽類のような鋭い目。そこまでは保存の顔写真で知っていたが、実物は、その顔の下にラグビー選手を思わす巨体を持っていた。

 

 車は書店裏の薄暗い駐車場に滑り込んでいた。
 自動ドアを分けて店内に入る。ポルノ雑誌のコーナーに、電脳系に取り残された中年の男たちが三人、四人……。その視線が一瞬、真知子の顔と体を舐め、グラビアの中の巨乳へと戻っていく。

 

 

 ちょうど遠山は、犬の散歩から戻ったところだった。鵜飼と同年輩の、フラスコのような体型の男だ。

 

 三橋は、その巨漢をソファに同化させていた。ベルトを緩め、ズボンのチャックも中程まで下ろして下腹の肉を解放し、丸太のような両足をテーブルの上に投げ出している。

 

 

 

 グレーのスーツには見覚えがあった。距離を置いて見ると身長はすらりと高く、セルフレームの眼鏡はつんとした鼻梁にフィットしている。

 

 ふわふわと頭の上で渦巻くような薄い髪とアンバランスな童顔。頬が赤く、それが幼い印象に拍車をかけていた。体格はいい。百八十センチある私と身長はさほど変わらないのだが、筋肉ではなく空気で膨らませたような体つきだった。

 

 

 

 肌は焼けたように浅黒く、毛の量が多く、目玉のぎょろりとした中年男性の外見。

 

 

 ドラムが趣味の兄貴分的な雰囲気の男で、痩けた頬の疎(まば)らな柔らかい無精髭には、弁護士らしからぬ色気があった。家庭とバンドで忙しそうなのに、刑事事件が好きで、今でもよく引き受けている。

 

 痩せていて、白髪交じりの坊主頭は、上から何かで押さえつけられたように平らに潰れている。薄い上瞼が重たく垂れていて、全体に左に歪んだ顔は、中心を逸れた小さな顎の先端で、頼りなげに結ばれている。城戸は、その細い、ツンと突き出した鼻っ柱に目を遣った。

 

 

「ようこそ、優子ちゃん」  リビングの大きな革張りのソファに座っていたおじさんが、私を見ると、そう言って立ち上がった。白髪混じりの髪に銀の縁取りの眼鏡。四角い顔に肩幅のあるがっちりした体。ベージュのガーディアンを着たおじさんは、五十過ぎだろうか。当時の私にはずいぶん年を取って見えた。

 

 

 

 ドアを開けて現れたのは、海外での知名度が嘘に思えるような小柄な人物だった。
 年齢は六十代半ば、白髪オールバックで端整な顔立ちだが目だけが鷹のように鋭い。腰こそ曲がっていないものの、背丈は真琴と同じくらいかやや低い。

 

 短髪の細面にやぶ睨み気味の目、そして薄い唇はいかにも神経質そうな性格を窺わせる。

 

 

 黒いコートを羽織り、手には黒革の角ばったカバンを持っていた。コートを脱ぐと、アイロンもろくにかかっていない白いシャツを着ている。ひょろっとした体型で太めの眉と彫りの深い顔の奥にあるくっきりした目は、頑固な性格を匂わせている。そして、頭の後ろで長く束ねられた髪は、美子に人種の違いを印象づけた。

 

 内側だけがバランス悪くすり減った冴えない革靴、黒いパンツ、この日もアイロンのかかっていない皺だらけのワイシャツ、無精ひげがまだらに残った顎、彫りの深く神経質な大きな目、濃い眉、後ろに束ねられた髪

 

 

 和人は会うたびに活き活きしていたし、背中に少しずつ芯を埋め込んでいくように凛々しくなっていった。

 

 

 薄い唇から白い歯が覗く。この笑顔が素敵だと騒いでいる看護師は多い。元宮は三十代後半だが、まだ独身だ。

 

 富田和夫は白髪混じりの頭をきっちり分け、金縁の度の強そうな眼鏡をかけていた。

 

 

 

 痩せた身体に没個性な灰色のスーツを着ている栄太郎は、口角を少しだけ上げてカメラを見ている。

 

 額にふわりと垂らした前髪や、整った目鼻立ちは、今ならイケメンと呼ばれただろう。だが、その口元に浮かんだ笑みは、どことなく軽薄だ。

 

 栄太郎は尖った顎に指を当て、周囲を見回した。鉢の開いた頭や、こめかみに浮き出た静脈は、いかにも神経の細さを窺わせる。

 

 

 根元まで染め切れていない金髪にジャージ姿。典型的なヤンキー風のためか、顎に蓄えた髭も貧相な顔にはひどく不釣り合いだった。

 

 白髪をびっしりと後ろに撫でつけ、端正な顔立ちは知性を感じさせるが、目だけは獲物を狙う猛禽類のように鋭い。

 

 

 

 ふと、次の間から、さきほどのブロンドの婦人に押されて、するすると音もなく車椅子が入ってきました。そこに座っていたのは、きれいに刈りこんだ白い顎鬚の紳士。銀縁眼鏡の奥から思慮深いまなざしを、じっとこちらに向けています。

 

 

 薄い頭髪を丸刈りにしている。そのせいで顔の丸さが強調されているようだった。体型もずんぐりとしている。

 

 彼は銀行マンのイメージをそのまま具現したような外観をしていた。髪はきっちりと分け、櫛目を通してある。金縁の眼鏡はファッショナブル過ぎず、ネクタイの色は地味だった。

 

 出迎えた院長の中井は、やや小柄な中年男性だった。後退した額の生え際が、かえって理知的な印象を与えている。ベテラン医師であることに間違いない。

 

 男性は加賀と名乗った。そういわれて改めて見ると、優しい表情の裏に隙のない精悍さが潜んでいるように思われた。

 聡美は声がした方を見た。管田の横に、黒いスーツ姿の男性がいた。四十を少し過ぎたくらいの年回りだろうか。切れ長の細い目と薄い唇が、冷たい印象を人に与える。

 

 歳は五十代、ごま塩頭で顔も厳つい造作だが、目尻の皺のお陰で愛嬌のあるものになっている。

 

 四角い顔に太い眉、おまけに三白眼の立石は眉間に皺を寄せたまま言った。

 

 

 浩一が古い自転車に乗り、背中を丸めてペダルをこぐのは朝の七時半と決まっている。ひょろりと痩せた猫背、丸い眼鏡を鼻にのせた風貌はどこか学者然として見える。

 

 

 文はうつむきがちに長い足を投げ出している。細い足首やくるぶしの骨が頼りない。男の人なのにどうしてこんなに細いんだろう。

 

 

 男の人は全体的にさらさらしていた。それに近くで見てわかった。この人、すごく綺麗な顔をしている。奧二重の切れ長の目で唇が薄い。なにより鼻が完璧だった。美形の条件は鼻だと、お母さんが常々言っていた。

 

 

 

 

 白髪の混じった無精髭と、後頭部でひとつにまとめたボサボサの長髪。義父は黄色く濁った目でニヤリと笑うと、ふたつある紙袋のうちのひとつをわたしに「ほれ」と差し出した。