窪んだ目と尖った顎、薄い唇が酷薄そうな雰囲気を発している。他人とは距離を置いているのか、皆から離れたところで煙草を吸っていた。
陰鬱なオーラを発し続けている彼の姿を見ていたくなくて、留美はキッチンに立った。
プシュッと音をたててプルタブを引き上げ、どうぞ、といって内海薫が缶ビールを草薙の前に置いた。
「おう、サンキュー」顔の前に掲げてから、ほろ苦い液体が舌を流れる感触に、一日の疲れがほどよい快感に変わる気がした。ふうーっと太いため息をつく。
まずは御報告まで、といって武藤は電話を切った。草薙は苦いものを口に入れたような思いでスマートフォンを置いた。
蓮沼は細い目をした、表情の乏しい男だった。話す時でさえ、削げた頬の肉を殆ど動かさない。
写真の中ではTシャツ姿の若い娘が指を二本立てて笑っていた。目元がくっきりとしていて顎は細く、唇は少し厚い。