人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

食べる、美味しい表現、描写を小説から学ぶ

山口恵以子さんの食堂のおばちゃんの美味しい描写

白い湯気と共にほのかに甘い炊きたてのご飯の香りが立ちのぼる。湯気の中から現れるのは、真珠色に輝くふっくらしたご飯粒の群だ。 衣はカリッとしているが、中身は火を通しすぎない。そんな牡蠣フライを一口噛めば、磯の香りのジュースがじゅわっと口いっぱ…

身がほろほろと砕けていくに従って肉汁を出し

口の中に放り込んで舌の上に載せる。 咀嚼して驚いた。 身がほろほろと砕けていくに従って肉汁を出し、それが甘い醤油と絡んで口中に広がる。サバの臭みがすっかり抜けているのは生姜が刻んであるせいだろうか。 素直に美味しい、と舌が喜んだ。 中山七里さ…

蛸の旨みが米に染み込んでいる

刺身に煮つけに天ぷら。どれから食べようかと迷ったが、とりあえず蛸飯の茶碗に手を伸ばす。掻き込むように口に運んだ。蛸の旨みが米に染み込んでいる。ひと口大に切った蛸がまた柔らかく、絶妙の歯応えで箸が進んだ。 柚月裕子さんの凶犬の眼より

脂っぽさは微塵もなく、肉の旨みがたちまち口腔に広がる

井戸が器を日岡に差し出す。なかに溶き卵が入っている。器のなかの霜降り肉は、まだ赤みがかかっていた。卵を絡めて口に入れる。途端、舌の上でほろりと溶けた。脂っぽさは微塵もなく、肉の旨みがたちまち口腔に広がる。 柚月裕子さんの凶犬の眼より

ビーフシチューは、口の中で肉の塊が簡単に崩れた

料理が運ばれてきた。コロッケは香ばしく、ビールが進んだ。海老フライ歯ごたえがあり、香りがいい。加賀お奨めのビーフシチューは、口の中で肉の塊が簡単に崩れた。 麒麟の翼 (講談社文庫) 作者:東野 圭吾 講談社 Amazon

コーヒーが運ばれてきた。香ばしい匂いが鼻腔を刺激する。

コーヒーが運ばれてきた。香ばしい匂いが鼻腔を刺激する。松宮は、まずブラックで啜った。程よい苦みが全身の細胞を覚醒させてくれるようだ。うまいな、と思わず呟いた。 麒麟の翼 (講談社文庫) 作者:東野 圭吾 講談社 Amazon

味噌汁をひと口すすって、ほうっと息が出た。冷えていた胃袋がじん、と温まる。

いっちみち乃南アサ短編傑作選 (新潮文庫) 作者:乃南 アサ 新潮社 Amazon 味噌汁をひと口すすって、ほうっと息が出た。冷えていた胃袋がじん、と温まる。

甘エビのとろーっとしたのや、つぶ貝のこりこりっていうのとか

四日間の奇蹟 (宝島社文庫) 作者:浅倉卓弥 宝島社 Amazon 「でも藤本さんだって、お刺身食べたくなりません?甘エビのとろーっとしたのや、つぶ貝のこりこりっていうのとか、あたしすごく食べたいなぁ」

この白い米の飯だ。何とも甘味があって、ふっくらとしていて、もちもちに旨い

嬉しくてたまらない。第一、この白い米の飯だ。何とも甘味があって、ふっくらとしていて、もちもちに旨い。見ただけでも、まるで光っているようにつややかな飯ではないか。 乃南アサさんのしゃぼん玉

温かい感触が唇に触れて、まず味噌の甘く香ばしい味と共に、しっかりと締まった肉の歯ごたえを感じ

一口、かじってみる。温かい感触が唇に触れて、まず味噌の甘く香ばしい味と共に、しっかりと締まった肉の歯ごたえを感じ、次いで、これまでに味わったことのない旨みが口中に広がった。三人の女は、じっとこちらを見ている。 乃南アサさんのしゃぼん玉

ぶ厚い脂身の層がしっかりとついている肉の周りに、何かのタレのようなものがついている

「で、なんすか、これ」 飯茶碗を片手に持ったまま、箸でアルミ箔の中身を突いてみる。薄切りの肉だった。ぶ厚い脂身の層がしっかりとついている肉の周りに、何かのタレのようなものがついている。 「みそ漬け。シシの」 「シシ? あの」 「イノシシ」 乃南…

ごく薄い出し汁の中で、山ほどのネギを散らされている蕎麦を一口すすり

ごく薄い出し汁の中で、山ほどのネギを散らされている蕎麦を一口すすり、翔人はつい「うめえ」とうなってしまった。温かい出し汁が、胃袋に染み込んでいく。そこから先は箸が止まらなくなった。 乃南アサさんのしゃぼん玉

大ぶりな椀の中で湯気を立てている蕎麦だった

それが、何とも食欲をそそる匂いを感じただけで、早くも口の中に一杯の唾が湧き出てきた。翔人は飛びつくように食卓に向かい、ものも言わずに箸をとった。真っ先に目についたのが、大ぶりな椀の中で湯気を立てている蕎麦だった。 「たった今、打った蕎麦ぞ」…

椎茸は甘辛いタレを含みしっとりと柔らかい

泰平は誘惑に駆られて、椎茸の端を齧ってみた。こりっとした歯ざわりを残しながらも、椎茸は甘辛いタレを含みしっとりと柔らかい。その上、噛んだそばから椎茸本来の旨味が染み出してきて、もはや「うまい」と言っても過言ではなかった。

小さな手鞠麩が、唇にやわらかい

「おつゆがさめますよ」 わしはうなずいてお椀を啜った。小さな手鞠麩が、唇にやわらかい。

黄色い玉子焼きをもう一つ口に入れ

わしはぽっくりと黄色い玉子焼きをもう一つ口に入れ、そうだったかもしらん、と思う。そして、ふと箸を置いた瞬間に、その二十年間をもう一度生きてしまったりする。

にんにくの香りのする漬け汁に鶏肉を入れ

にんにくの香りのする漬け汁に鶏肉を入れ、ジップロップごしにしっかり揉む。 漬け汁に塩麹を加えると肉のうまみが引き出されて柔らかくなる、ということを浩一は最近本で知った。 99のなみだ・蛍

海老とアボガドのサラダだった

海老とアボガドのサラダだった。ピーナツバターの香りがすることを確認しつつ、彼は口に運んだ。目を閉じて咀嚼し、ゆっくりと呑み込む。口に残った後味も、大切なチェック項目だ。 東野圭吾さんの流星の絆より

本当に採れたての新鮮な牡蠣は、レモンを絞る必要もない

細かく砕いた氷の上に、殻つきの生牡蠣がいくつも載せられている。少し小振りで真珠色に輝いているのが気仙沼産、大振りで瑞々しい透明感があるのが広島産だと説明を受けた。麗羅は牡蠣用の小型のフォークを手に取ると、気仙沼産から口に入れた。本当に採れ…

舌の上でほろりと崩れるミートローフは、砕いたナッツが香ばしい

「うめっ、これまじに美味いや!」 麗羅が切り分けたコテージパイを口にするなり、和也が感激する。咲子も焦げ目のついたマッシュポテトを口に運んだ。 バター風味の効いたマッシュポテトは、口当たりは滑らかだがどっしりとした旨みがあり、舌の上でほろり…

黄金色のマッシュポテトの下から、こんがりと焼き上がったミートローフが顔を覗かせた

麗羅がパイにナイフを入れると、黄金色のマッシュポテトの下から、こんがりと焼き上がったミートローフが顔を覗かせた。 古内一絵さんのキネマトグラフィカより

しっとりと煮詰められたりんごの優しい甘みが口の中に広がる

私もアップルパイを口に入れた。しっとりと煮詰められたりんごの優しい甘みが口の中に広がる。 瀬尾まいこさんのそして、バトンは渡されたより

つやつや光るパイ生地から香ばしいバターの香りが漂っている

森宮さんはアップルパイの載ったお皿を私の前に置いた。つやつや光るパイ生地から香ばしいバターの香りが漂っている。 瀬尾まいこさんのそして、バトンは渡されたより

具材全部に優しいだしの味が染みて、米粒からもきのこの香りが漂う

きのことあげとひじきが入ったご飯。具材全部に優しいだしの味が染みて、米粒からもきのこの香りが漂う。そんな中にねぎのシャキシャキとした新鮮な歯触りが、いいアクセントになっている。 瀬尾まいこさんのそして、バトンは渡されたより

焼いたタマゴの甘さとケチャップの酸っぱさが口中一杯に広がる

店の駐車場が広かったので、利根は車止めに腰を下ろしてオムライスの蓋を開けた。店員の「温めましょうか」という問い掛けに一にも二もなく頷いてしまったが、容器の底から伝わる熱が、今は有難いと思えた。 ひと口頬張ると、焼いたタマゴの甘さとケチャップ…

中からふくらはぎほどもありそうなみずみずしい大根が現れて

「そがに思うて、ほれ、特別におっ母が作っとる畑で採れた大根、持ってきたがね」 新聞紙の包みを差し出した。中からふくらはぎほどもありそうなみずみずしい大根が現れて、「うわあ」と紫紋は歓声を上げた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

熱い汁をすする音、浅漬けを噛む音、やわらかな鮭のたたきをおごそかに口に運んで

女将は箸を手にすると、無言で食事を始めた。熱い汁をすする音、浅漬けを噛む音、やわらかな鮭のたたきをおごそかに口に運んで、女将はずっと無言だった。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

体の隅々まで、煮魚の甘辛い味が、ほくほくとしたご飯のぬくもりがいきわたり

紫紋は両手を腹の上に置いて、椅子の背にのけぞって天井を仰いだ。頭の中が真っ白だった。体の隅々まで、煮魚の甘辛い味が、ほくほくとしたご飯のぬくもりがいきわたり、痺れるような幸福感が満たしていた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

くつくつと煮える鍋のあぶくの音が、その声に重なる

「いらっしゃい」 明るい声がした。くつくつと煮える鍋のあぶくの音が、その声に重なる。 「開店まえでたいしたものはないけど……何食べたい?」 それが、出会って最初のマリアの言葉だった。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

ロメインレタスの葉をしゃくしゃくと噛み締めた

私は、新聞各紙のページをあっちこっちひっくり返しながら、ロメインレタスの葉をしゃくしゃくと噛み締めた。みずみずしい味だった。 原田マハさんの総理の夫より