人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

2022-10-30から1日間の記事一覧

すでに夕闇に溶け始めていた

昼過ぎまでは燦々と陽の光が降り注ぎ、眩しいくらいだった縁側は、すでに夕闇に溶け始めていた。ガラス戸の向こうには、淋しい夕暮れ時の空と、いくつもの山影ばかりになっていた。 乃南アサさんのしゃぼん玉

この白い米の飯だ。何とも甘味があって、ふっくらとしていて、もちもちに旨い

嬉しくてたまらない。第一、この白い米の飯だ。何とも甘味があって、ふっくらとしていて、もちもちに旨い。見ただけでも、まるで光っているようにつややかな飯ではないか。 乃南アサさんのしゃぼん玉

けたたましい声を上げて笑い出した

小花模様のひと言に、今度は三人は、翔人が一瞬、箸を止めてしまうくらいにけたたましい声を上げて笑い出した。突然、倍の人数くらい膨れあがったような声だ。順番に眺める三つの顔は、どれもこの上もなく楽しそうに見えた。 乃南アサさんのしゃぼん玉

温かい感触が唇に触れて、まず味噌の甘く香ばしい味と共に、しっかりと締まった肉の歯ごたえを感じ

一口、かじってみる。温かい感触が唇に触れて、まず味噌の甘く香ばしい味と共に、しっかりと締まった肉の歯ごたえを感じ、次いで、これまでに味わったことのない旨みが口中に広がった。三人の女は、じっとこちらを見ている。 乃南アサさんのしゃぼん玉

ぶ厚い脂身の層がしっかりとついている肉の周りに、何かのタレのようなものがついている

「で、なんすか、これ」 飯茶碗を片手に持ったまま、箸でアルミ箔の中身を突いてみる。薄切りの肉だった。ぶ厚い脂身の層がしっかりとついている肉の周りに、何かのタレのようなものがついている。 「みそ漬け。シシの」 「シシ? あの」 「イノシシ」 乃南…

目尻にくっきりとした皺が何本も寄り

ピンクエプロンが、またにんまりと笑う。目尻にくっきりとした皺が何本も寄り、のぞいた前歯の片方はまたも縁取り金歯だ。 乃南アサさんのしゃぼん玉

ごく薄い出し汁の中で、山ほどのネギを散らされている蕎麦を一口すすり

ごく薄い出し汁の中で、山ほどのネギを散らされている蕎麦を一口すすり、翔人はつい「うめえ」とうなってしまった。温かい出し汁が、胃袋に染み込んでいく。そこから先は箸が止まらなくなった。 乃南アサさんのしゃぼん玉

大ぶりな椀の中で湯気を立てている蕎麦だった

それが、何とも食欲をそそる匂いを感じただけで、早くも口の中に一杯の唾が湧き出てきた。翔人は飛びつくように食卓に向かい、ものも言わずに箸をとった。真っ先に目についたのが、大ぶりな椀の中で湯気を立てている蕎麦だった。 「たった今、打った蕎麦ぞ」…

頬骨の張った菱形の顔をした女

「お待ちどおさん。ぼう、お腹空いたじゃろう」 ピンク色のエプロンをして、頬骨の張った菱形の顔をした女が、にんまりと笑った。翔人は返事する代わりに、ただ曖昧に笑ってみせた。 乃南アサさんのしゃぼん玉