人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

贖罪の奏鳴曲(ソナタ) 中山七里 おすすめ小説

おすすめ度 3.8

入間川の堤防で30代前半と思われる全裸の男の死体が発見された。身体中に傷と打撲跡が刻まれており一見リンチを受けたかのようにも見えたが、パートナーの古手川和也と共に現場で死体を目にした埼玉県警捜査一課の渡瀬は、早々にこれが水死体であることを見抜き、また、左の掌中央に不自然な小円形の赤い窪みがあることに気づく。捜査本部が設置された狭山署で記者クラブに対して会見が開かれたところ、参加していた埼玉日報社会部記者の尾上善二の発言により、死体の身元がフリーの記者・加賀谷竜次であることがわかる。彼は強請りの常習者として有名であり、最近は保険金のために夫・彰一の人工呼吸器を止めて殺害したのではないかと騒がれている東條美津子の事件に関心を寄せていたらしい。そして監察医の光崎の報告により、左の掌にあった窪みは電流紋というものだと判明する。それは感電死するくらいの電流が一気にそこに流れたことを意味していた。 渡瀬は古手川と共に「東條製材所」を訪れる。美津子本人は現在拘留中だが、一人息子の幹也がオートメーション化された製材所で変わらず仕事を続けていた。そしてそこで、美津子の裁判を担当しているという弁護士の御子柴礼司と初めて顔を合わせる。御子柴の顔を見た渡瀬はすぐ、加賀谷がパソコンで頻繁に見ていた「少年犯罪ドットコム」というページの“園部信一郎”と同一人物であることに気づく。園部は26年前の昭和60年、幼女殺害事件の犯人として当時14歳で逮捕されていた。渡瀬は、加賀谷が強請っていたのは美津子ではなく御子柴なのではないかという疑いを抱くが、加賀谷の死亡推定時刻に御子柴は東京地裁で弁護中であり、アリバイは完璧だった。しかし殺しには免疫性があることを知っている渡瀬はなぜ御子柴が地位も名誉もない東條美津子の国選弁護人を引き受けたのがキーポイントになるはずだと考え、御子柴の素顔を知るため、関東医療少年院収容時に彼の教育担当だった稲見武雄に当時の様子を聞きに行く。 一方、御子柴は美津子が故意にストップさせたとされている人工呼吸器の製造元であるガーランド医療機器会社を訪れ、弁護のための切り札を見つけていた。そして最高裁弁論当日。傍聴席にいた渡瀬や幹也の前で、御子柴は法廷に人工呼吸器の実物を持ち込んでデモンストレーションを行い、美津子が無実であることを見事に証明し、対峙していた検事の額田順次を含めた関係者達を唸らせる。しかし当の御子柴の気持ちは晴れなかった。そして裁判では明らかにしなかったもう1つの真相を幹也に告げた後、帰ろうとした地下駐車場で、以前から自分を恨んでいた安武里美に刺されてしまう。気づいて駆け寄ってきた渡瀬ももう1つの真相に気づいていたと知って安堵しながら、御子柴の意識は遠のいていった。