書き出し
我輩は猫である。名前はまだ無い。 ーーと仰ったえらい猫がこの国にはいるそうだ。
その猫がどれほどえらかったのか知らないが、僕は名前があるという一点においてのみ、そのえらい猫に勝っている。
もっとも、その名前が気に入っているかどうかはまた別の話である。何故なら僕につけられた名前は僕に合致していないこと甚だしいからだ。
僕にその名がついたのは五年ほど前だっただろうか。ちょうど僕が成年した頃のことである。
もう一度読み返したくなる小説
主人公の宮脇悟は猫が大好きな男。
彼は車にはねられた猫を助けて飼いはじめる。
その猫はナナと名付けられる。
この話はナナとの旅するリポートで旅先は悟の昔の友人達。
小学校時代のユースケ。
中学校時代のヨシミネ。
高校、大学時代のスギとチカコ。
それぞれの章で悟と友人の昔話がストーリーになってる。
悟の視点から、友人の視点から、そしてナナの視点から。
ナナの視点からは、なかなか面白いし、猫の仕草の描写も可愛らしいので猫好きにはたまらないかもしれません。
悟はどうしてナナを連れて旧友に会いに行ったのか?
実は、ナナを引き取ってもらうための見合いのためだった。
しかし、全て見合いは不発に終わる。
旧友たちは引き取るつもりでいただが、今飼っているペットとの理由相性の悪さなどでで無理だった。
なぜ、もう一度読み返したいのか
正直、最初は、旧友に会って悟の学生時代のトラブルや猫への愛情や友人想いの優しさなどばかりで、盛り上がりに欠けるなと、少し冷めながら読み進めてしまいました。
しかし、後半に込み上げてくるものがあり、
あの時の話は、どうだったかと最初からゆっくりと味わって読んでおけばよかったと後悔からです。
一ページ、一ページゆっくりと味わって読んでください。
きっと、後半の込み上げる想いが大きくなると思います。
もう一度、読み返すつもりですが、結末を知ってしまうとね。ちょっと込み上げてくるものも弱くなるだろうな。