夕陽はゆるゆると沈み、空と海との境い目に近づいた瞬間、水平線が金色に光った。そして、あっという間に沈むと、視界すべてが群青色に変わる。
自分の相手は、隣に座っている女性?
思わず隣の女性の横顔を盗み見る。くるりとカールしている長い睫毛。陶器のような肌にピンクの頬。
こんなかわいらしくて美しい女性が、自分なんかと結婚してくれるの?
今にも消え入りそうな声が背後から聞こえてきた。振り返って声の主を見る。色白で繊細そうで、ふと消えてしまう薄羽蜉蝣のような青年だ。
もう一人の青年も声をかけてきた。こちらも常連だ。たぶん二十代後半だろう。前髪が長く、目が半分くらい隠れているうえに、大きな黒ぶちメガネをかけている。