おすすめ度 3.8
あるトラブルにより弁護士資格を剥奪された上水流涼子は、東大卒IQ140の貴山伸彦と上水流エージェンシーという探偵事務所を運営し、オモテには出せない相談事を解決する。
明晰な頭脳と美貌を武器に、あり得ないことを解決する痛快作品ばかり5編です。
確率的にあり得ない
二代目のボンボン社長の本藤仁志は、真面目で良い人間だが、社長としての決断力がない。本人もそのことで悩んでいた。
ある日飲み屋で高円寺裕也という男を紹介される。高円寺にはここ先何が起こるのかがわかる予知能力があるという。
最初は信じていなかった本藤だが、高円寺がボートレースなどを当てたことなどで、高円寺に陶酔する。これから会社の方向性を決める時は、高円寺に頼むことに決めて、五千万円で契約しようとする。
合理的にあり得ない
神埼恭一郎は悠々自適の生活を送っていた。
最近気になることは、妻の朱美が行き先も告げずに黙って出かけることだった。
ある日、銀行から電話があり、奥さんが二千万円ほどの金額をおろしているという。恭一郎にとって二千万円は大した金額ではなかったが、朱美が内緒にしていることに腹が立った。
調べると、朱美は詐欺師に騙されているようだった。恭一郎は詐欺師を呼び出し、対決するのだが、……。
戦術的にあり得ない
賭け将棋に必勝をきす暴力団幹部の日野。ここのところ、財前という男な負けてばかりだ。次勝てるようにしてくれという依頼だった。
心情的にあり得ない
今回の依頼主は涼子が弁護士資格を剥奪される原因になった男だ。
男の依頼は孫娘が家出したので探しだしてほしいという内容だった。男は地位のある人間だ。孫娘が家出したことが知れることを恐れ、涼子に依頼した。
涼子はこれが単なる家出でないことを探り当て、そして、依頼主の思惑とは違う解決をする。
この章は涼子がなぜ弁護士資格を剥奪されたかや、貴山との繋がりがわかる秀悦な章です。
心理的にあり得ない
予土野は野球賭博で、昔ある男を嵌めて、大金を手に入れた。その金がそろそろ底をついてきた頃に、次のターゲットが目の前に現れた。
予土野は言葉巧みに男を野球賭博の道に嵌めていったが、……