無軌道は若さの代名詞だ。だから若者の多くはまず羅針盤だけを頼りに走る。そして羅針盤の粗さゆえに惑い、迷う。迷った挙句に灯台の灯を探し求める。稚拙だから迷うのではない。生きることに真摯だから迷うのだ。
「事の善悪は考えるものではなく、感じるものだとは思いませんか。あなたが今までの人生で培ってきた倫理観と良識に照らし合わせてみればいいんです。最初に感じたことというのは、大抵その人にとっての真実なのだと思います。でも組織の論理や世間体みたいなものを考え始めると真実が歪んでくる。個人の倫理観以外のものが介在してくると、どうしても正義は胡乱になってくるものなの」