人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

平野啓一郎さんのある男に出てきた名言

 

「わたしの人生のモットーは、三勝四敗主義なんです」

「何ですか、それ?」

「人生は良いことだらけじゃないから、いつも三勝四敗くらいでいいかなって思ってるんです。」

「四勝三敗でしょう? 三勝四敗だと負け越してるよ。」

 城戸は、単純な言い間違えだろうと訂正したが、美涼は首を振った。

「ううん、三勝四敗でいいんです。わたし、こう見えても、ものすごく悲観主義者なんです。 真の悲観主義者は明るい!っていうのが、わたしの持論なんです。そもそも、良いことを全然期待してないから、ちょっと良いことがあるだけで、すごく嬉しいんですよ。」

 美涼は笑って、得意げに自説を開陳した。城戸はその言葉に虚を突かれたような感じがした。そして、自分の中に、新しい視界が開いてゆくような一種の感銘を覚えた。

「なるほど。……」

「ダイスケが急にいなくなっちゃったのもそうだし、ツイてないんですよ、大体、わたし。だから、本当は二勝四敗くらいでも平気なんですけど、目標は高く、三勝四敗主義で」

「いい考えですね。」

「でしょう?」

「今の世の中は、一敗でもすると、他の三勝が帳消しにされてしまうようなところがありますからね。」

「城戸さんも悲観的ですねー。」

「はは。そうかもしれない。」

「みんな、この世界の評価が高すぎるんですよ。願望ですよ、それって。だから、人が不幸になっても、本人が悪いって責めるし。自分の人生に全然満足できないし。」