灰色の煙突から流れ出る淡い煙が、晴朗な空に霧散していく。
錦繍に包まれた小径を、能見亮司は進んでいった。喪服の人々とすれ違う。みなの踏みしめる枯れ葉の快いさざめきが、耳をくすぐった。
玄関付近に喪服の男女がたむろしていた。
自動ドアをくぐると、広い円形のホール。丸天井には三角の天窓。そこから幾筋もの光が差し込み、床にまだらを作っている。
光線のただ中に車椅子を止めた。
左手にガラス戸で仕切られた焼き場があり、右手には待合室。待合室の中は人が溢れていた。幾人かが、興味ありげな視線を送ってくる。