おすすめ小説 『逃走』 薬丸岳
おすすめ度 ☆☆☆☆
薬丸岳さんの作品は少し重いけどやはり面白い。
主人公が加害者でありながら応援したくなる、そんな作品でした。
辛い子供時代、妹想いな兄、真面目で優しい性格、そんな主人公が人を殺してしまうのです。
同情しながら読んでました。
なぜ、そんなことになったのか? 主人公の運命に切なさを感じる作品です。
あらすじ
「どうしてあんたがここにいるんだ!」
小沢裕輔は激昂して和歌山ラーメンの店主弓削正一を殴り、誤って殺してしまう。
裕輔は弓削を殺してしまったことで、可愛がっていた妹の美恵子の今後が心配になる。
裕輔は美恵子のために警察に出頭する前に母親の文恵を見つけ出しあることをやろうとする。それが終わってから自首するつもりだった。
母親の文恵は21年前、裕輔が8歳の時、父親を殺害して18年の刑を言い渡されていた。
父親を殺害した母親を憎んでいたため、出所してからも会うつもりはなかった。
妹の美恵子は兄が人を殺してしまったことを信じたくなかった。
物心ついた時には、両親はいなくて裕輔と二人きりだった。裕輔はいつも美恵子のことを考えてくれる優しい兄だったからだ。
裕輔と殺されたラーメン屋の主人との接点もわからない。
「殺してしまったラーメン屋の主人は一体何者なのか? 裕輔はなぜラーメン屋の主人を殺してしまったのか?