人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

2021-05-04から1日間の記事一覧

小さなつぼみが開くかのような微笑だった

まるで朝露の中、小さなつぼみが開くかのような微笑だった。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

窓の外に広がるミルク色の空に、ブナの木の枝が荒々しい割れ目を作っていた

窓の外に広がるミルク色の空に、ブナの木の枝が荒々しい割れ目を作っていた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

こんがりした表面からとろりとした生地があふれ出す

「じゃあ、あんただけでも食べな。たこ焼き、好きでしょ」 彼女に勧められるまま、折りたたみテーブルの上に無造作に投げられたその温かな包みを開いてみた。かりっと焼かれた丸いたこ焼きにピンク色のソース。食欲をそそる香ばしい匂いにうっとりする。一口…

心にぱっと花火がはじけた

「『ぐりとぐら』もそうだったでしょう?」 懐かしいそのタイトルにダイアナの心にぱっと花火がはじけた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

爽やかな香り高い甘酸っぱさがぷるんと弾けた。あまりの美味しさにしばし恍惚となる。ぽってりとした素焼きのマグカップを両手で持つと、なんだかほっとする

「はい、ゼリーと紅茶よ」 ダイアナは目をぱちくりさせ、彩子ちゃんのお母さんの差し出した湯気の立つマグカップと半分に切ったグレープフルーツに詰まったゼリーを見下ろす。ダイアナにとってのゼリーとは、コンビニで買う、透明のカップに入った濃い色のも…

真っ黒な目は濡れていて焦げ茶の毛はまるでキャラメルのようになめらかだ

真っ黒な目は濡れていて焦げ茶の毛はまるでキャラメルのようになめらかだ。抱きたい気持ちはあるけれど犬に触るのは初めてで、つい腰が引けてしまう。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

透き通るように綺麗で汚れのない空気をまとっていた

玄関で出迎えてくれた中年の女性は化粧気がなく、皺や白髪も目立つのに、透き通るように綺麗で汚れのない空気をまとっていた。紺色の眼鏡に長い灰色のカーディガン、あせた緑色のゆったりとしたパンツという地味な格好なのに、なんとも優雅で好ましい。 柚木…

大きな瞳は相手を吸い込むような深いはしばみ色で、長い睫毛がびっしり縁取っている

金色の透けるような髪、びっくりするほど小さな顔。大きな瞳は相手を吸い込むような深いはしばみ色で、長い睫毛がびっしり縁取っている。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

春が始まったばかりの、しんと冷たくて、それなのに日向くさい風が頬をなでた

カーテンが風にふくらみ、ふんわりと二人を包み込む。教室の喧噪が一瞬遠のき、世界はダイアナと彩子だけのものになった。春が始まったばかりの、しんと冷たくて、それなのに日向くさい風が頬をなでた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

綺麗な顔にやさしい微笑が広がっていくのを

彩子は大きく目を見開いた。綺麗な顔にやさしい微笑が広がっていくのを、ダイアナは息を詰めて見つめた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

陶器人形のようになめらかな肌、形のよい広い額はいかにも頭が良さそうで、髪は習字の墨のように黒々とつやがある

真っ先に、綺麗な子だ、と思った。華やかな顔立ちではないが、目鼻立ちが整っている。陶器人形のようになめらかな肌、形のよい広い額はいかにも頭が良さそうで、髪は習字の墨のように黒々とつやがある。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

気の強そうな味噌っ歯が唇から覗き

「ねえ、その髪の毛、どうしたの? 自分で染めたの?」 気の強そうな味噌っ歯が唇から覗き、探るような目で尋ねられた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

皮肉な笑みを頬に貼り付かせる

外でティアラに名前を呼ばれるたび、周囲の人は一斉に振り返る。ダイアナとティアラを見比べると、誰もがははあ、と合点がいったように肩を竦め、皮肉な笑みを頬に貼り付かせる。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

頭がぼうっとし、みぞおちの辺りがしくしくと痛み始めている

自分の番がだんだんと近づいてくることが怖くて仕方ない。頭がぼうっとし、みぞおちの辺りがしくしくと痛み始めている。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

柚木麻子さんの本屋のダイアナの書き出し

本屋さんのダイアナ (新潮文庫) 作者:麻子, 柚木 新潮社 Amazon 新しい教室の窓際の席からは、空のプールがよく見える。昨日まで降り続いた雨のせいで、うっすらと底に水がたまり、その上には校庭から吹き飛ばされてきた桜の花びらがふかふかと積もっていた…

何の感情も窺わせないビー玉のような目をしていた

しばらく無言で見つめ合った。榊は瞬きすらせずにじっと視線を据えている。何の感情も窺わせないビー玉のような目をしていた。 薬丸岳さんの死命より

死命 薬丸岳 おすすめ小説

死命 (文春文庫) 作者:薬丸 岳 文藝春秋 Amazon おすすめ度 3.6 感動する ☆☆☆ 笑える スリル ☆☆☆ ほっこり ビックリ ☆☆ 先が気になる ☆☆☆☆ ためになる ☆☆ 心に残る ☆☆☆ 切ない ☆☆☆ 怖い ☆☆☆☆ 重い ☆☆☆☆ すいすい読める ☆☆☆ あらすじ デイトレードで巨万の富…