「はい、ゼリーと紅茶よ」
ダイアナは目をぱちくりさせ、彩子ちゃんのお母さんの差し出した湯気の立つマグカップと半分に切ったグレープフルーツに詰まったゼリーを見下ろす。ダイアナにとってのゼリーとは、コンビニで買う、透明のカップに入った濃い色のものだ。ところが彩子ちゃんの家では、生の果実をくりぬいて器として使っているのだ。彩子ちゃんにならってひとすくい口に運ぶと、爽やかな香り高い甘酸っぱさがぷるんと弾けた。あまりの美味しさにしばし恍惚となる。ぽってりとした素焼きのマグカップを両手で持つと、なんだかほっとする。