空の表現、描写を小説から学ぶ
幸を胸いっぱいに抱いたまま、明青の目の前の夜空には、涙のような星つぶがどこまでも広がっていた。 原田マハさんのカフーを待ちわびてより
頭上を見やる。空が、薄墨と橙を混ぜた色に染まっていた。電柱の上を、黒い影絵のような鴉(からす)が飛んでいく。 柚月裕子さんの暴虎の牙より
仁王門の前で腰を伸ばし、空を仰ぎ見る。白い薄雲の棚引く空の青さが、目に染みた。手水舎で手と口を清め、仁王門をくぐる。
ずっと曲げていた腰を伸ばして顔をあげると、頭上に覆いかぶさる樹木の枝の隙間から、灰色の空が見えた。いつ、また降り出してもおかしくない空模様だった。
四日間の奇蹟 (宝島社文庫) 作者:浅倉卓弥 宝島社 Amazon 見上げた空は、一面の星だった。月はどうやら建物の背後にあるらしく、残念ながら姿は見えなかった。ただ星があるだけである。まるで木漏れ日を映した水面のように、空全体が輝いていた。
リーチ先生 (集英社文庫) 作者:原田マハ 集英社 Amazon 太陽が、幾多の羊雲を従えて、青空の真ん中でさんさんと輝いている。 その光を正面から受けて、高市は、黙々と鍬を土中にくぐらせている。
準備が整う頃、東の空にいちばん星が瞬きはじめた。西の空はまだ透明感のある紫色だ。 森沢明夫さんのおいしくて泣くときより
低い雲に覆われた空の一部が、淡いレモン色に輝いていた。 森沢明夫さんのおいしくて泣くときより
窓の外を見ると、からっぽな青い空と、音もなくむくむくと盛り上がってくる入道雲が、世界の半分を占めていた。 森沢明夫さんのおいしくて泣くときより
外は満点の星だった。 おそらくは。この料亭を訪れた時にはきれいな夕焼けが出ていた。しかしすっかり暮れてしまった今は、ビルの明かりやネオンにじゃまされ、空は一面無彩色に濁っている。 葉桜の季節に君を想うということより
海の日を過ぎてもまだ雨が降ったりやんだり、紫紋は、空と海を灰色の絵の具で溶かしてしまう季節にうんざりしていた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより
銀色に広がる雪景色の真上には、凍(しば)れる空の青がしんとして広がっていた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより
空は抜けるように青く、細かくすれた雲がまるでペンキのためし塗りでもしたみたいに天頂にすうっと白くこびりついていた。 村上春樹さんのノルウェイの森より
はるかに青くかすんで見える台北の街。小さな機影が、朝の光のキャッチして、銀色に輝きながら彼方へと飛び去っていくのが見えた。 原田マハさんのアノニムより
大小の船が航跡を残しながら湾を行き交い、ひっきりなしに飛行機が濁った空をかすめて飛んでいく。 原田マハさんのアノニムより
私は空を見上げた。水晶の粉をばらまいたように、光の粒が黒い空に広がっていた。誰かが私を見守ってくれている。 そんな気が、ふとした。 東野圭吾さんの分身より
夕方MACを出た後、俺は付近を徘徊した。空はどんよりと雲っていて、重たく、湿っぽい空気が身体にのしかかってくるようだった。 東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーより
夜が始まったばかりの空は、まだうす青を残し、静まり返っている。右手に、ぽっかりと明るい月が昇っている。鏡のような満月だ。 原田マハさんの楽園のカンヴァスより
荒木町は街全体がすり鉢の形にくぼんでいる。谷底に向かって坂道を下りていけば、パノラマのように、斜面にそびえる建物がぐるりと見渡すことができ、咲子は自分がとても小さくなったような気持ちになった。古いビルに囲まれた細長い青空は、一層高く見える。…
窓の外に広がるミルク色の空に、ブナの木の枝が荒々しい割れ目を作っていた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより
厚い灰色の雲間から日射しが覗いていた。 真山仁さんの雨に泣いてるより
雨はやんでいたが、分厚い雲が居座っている。 真山仁さんの雨に泣いてるより
もう雪も雨も降っていなかった。色褪せた黄色いカナリアのような色の空が広がっている。 小川糸さんのキラキラ共和国より
ボスは細巻きのシガーをくわえると、私にも一本勧めた。肩ごしの出窓には、絹を張ったような秋空が拡がっていた。 浅田次郎さんの鉄道員(ぽっぽや)より
仙次は四方を囲むような幌舞の山を見渡した。雪あがりの空は絵具をまいたような青さで、朱い国鉄色のキハが良く似合っていた。 浅田次郎さんの鉄道員(ぽっぽや)より
冬のおだやかな午前中である。大西洋の波はやや荒れてはいるものの、水蒸気に包まれた上空はふんわりとやわらかに白くかすんでやさしい色に染まっていた。 原田マハさんの暗幕のゲルニカより
それは一点のかげりもない青空が、四方から太陽を支え上げるような、光輝く日であった。 浅田次郎さんの日輪の遺産より
飛行機が厚い雲を抜けると、目の眩むような青空が輝いていた。 ビジネスクラスの最後部の窓際に一人、座っていた恩地は、暫し眼下の真綿のような雲と、宇宙の果てまでも続くかと思われるコバルトブルーの空を眺めていた。 山崎豊子さんの 沈まぬ太陽 会長室…
夕陽はゆるゆると沈み、空と海との境い目に近づいた瞬間、水平線が金色に光った。そして、あっという間に沈むと、視界すべてが群青色に変わる。 垣谷美雨さんの結婚相手は抽選でより 結婚相手は抽選でposted with ヨメレバ垣谷美雨 双葉社 2014年06月10日 楽…
高く澄みきった空に、鱗雲が浮かび、秋風がたつ季節になった。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽より 薄暗い空の彼方に、ぽつんと紅い点のようなものが浮かんだかと思うと、みるみる丸く膨らみ、側峰のマウェンジ峰の背後から、オレンジ色の光輪を放った。雲海を押…
