子供、年寄りの外見の描写をおすすめ小説から学ぶ
この日の夜、祈念にやってきた津島秀次は、枯れ木のような痩せた老人だった。さほど背は低くないが、腰が少し曲がっているせいで小柄に見えた。 東野圭吾さんのクスノキの番人より
しばらくすると人の気配がして、珠暖簾のあいだから、腰の曲がった年配の女性が顔を出した。八十近くだろうか。老女は大上の姿を認めると、皺に囲まれた垂れ気味の目尻を、一段と下げた。 柚月裕子さんの孤狼の血より
中には皺の中に顔があるような老人もいて、彼らの言葉は、翔人にはほとんど理解できないものだった。 乃南アサさんのしゃぼん玉
くまのプーさんのカバーオールを着た子が畳の上にちょこんと座っている。柔らかそうな髪にはくりんくりんとウェーブがかかり、頬はリンゴのように赤い。目は、何かに驚いているかのようにまん丸に見開かれている。 葉桜の季節に君を想うということより
車椅子の上で力なくうずくまっていた人物は、ミイラのごとき老人だった。 落ち窪んで枯れた池のような顔の中で、ぎょろりと目が動く。その目は白濁して、見えているのかいないのかもわからない。 原田マハさんの楽園のカンヴァスより
真っ先に、綺麗な子だ、と思った。華やかな顔立ちではないが、目鼻立ちが整っている。陶器人形のようになめらかな肌、形のよい広い額はいかにも頭が良さそうで、髪は習字の墨のように黒々とつやがある。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより
「ねえ、その髪の毛、どうしたの? 自分で染めたの?」 気の強そうな味噌っ歯が唇から覗き、探るような目で尋ねられた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより
小柄な年配の女性が写真館に入ってきた。白髪はきれいにセットされていて、カシミアらしいベージュのセーターの上に、あざやかな朱色のストールを羽織っている。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より
「ああ。若い者はそうしたまえ。決して回り道ではない。そう考えてはならんよ」 のっぺいは言いながら、骨と筋ばかりの掌を真次に向けて差し出した。 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより
前歯の欠け落ちて空洞に見える口を開けて、老人は笑った。 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより
なるほど、齢なりに美しい人である。銀髪は短く整えられていて、青みがかったメガネがよく似合った。貴婦人の風格を感じさせた。 浅田次郎さんのおもかげより
隣で揺れる、小さなつむじ。こうして進と歩いていると、もうずっと二人でこうしていたかのような気分になるのが不思議だ。これが血のつながりってやつだろうか。 坂木司さんのウインター・ホリデーより
せんは、小さな四角いかたちに正座をしたまま、菜穂の告白にじっと耳を傾けていた。全部聞き終わると、ようわかりました、とひと言、言った。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より
サラサラの子供の髪の毛の表現 姉はくすくす笑いながら、知子の小さな頭を撫でた。知子の髪の毛は、砂時計のなかの砂のように、さらさらとやわらかく指の腹をすべる。 朝井リョウさんの世にも奇妙な君物語より
親の愛情をいっぱい注がれているような幼児の描写をおすすめ小説から学ぶ シングルマザーの子だから、もっと不幸じみた子供を想像していたのに、そんな雰囲気はまったくなかった。うさぎのキャラクターがプリントされたピンクのトレーナー。丸い飾りのついた…