表示禁止事項の基本的な考え方
表示は、消費者が商品を選択する際に、どのようなものかを知る上で大切な情報源であるため、食品表示基準には、一般用の加工食品について第9条に、生鮮食品については第23条に表示禁止事項に関する規定があります。
ここでは、実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語、絵、写真、その他の表示が禁止されています。
また、景品表示法においては、消費者の適正な商品選択の妨げになるような不当な表示を、健康増進法では健康の保持増進の効果について著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させるような誇大な表示を禁止しています。
禁止されている表示
食品表示基準で禁止している表示(第9条 表示禁止事項より抜粋)
・ 実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる表示を行うこと。
・ 内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示を行うこと。
・食品表示基準に定められた表示すべき事項の内容と矛盾する表示を行うこと。
これらは、禁止されています。具体的には、下記のような表示をすることが禁じられています。
・機能性表示食品に、疾病の治療効果又は予防効果を標榜する用語や消費者庁長官の評価、許可等を受けたものと誤認させるような用語等を表示すること。
・栄養機能食品に、規格基準が定められた栄養成分以外の成分の機能を示す用語、特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を表示すること。
保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品及び栄養機能食品という。以下同じ。)以外の食品に、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を表示すること。
・乳幼児規格適用食品以外の食品に、乳児用規格適用食品である旨やこれと紛らわしい表示を行うこと。
・日本農林規格で等級のある品目について、等級の格付が行われた食品以外のものに、等級を表示すること。
・非遺伝子組換え食品以外の食品に、非遺伝子組換え農産物である旨を示す表示を行うこと。
・遺伝子組換え農産物として認められている作目以外以外の農産物について、遺伝子組換えでない旨を表示すること。
・原料原産地名や加工又は製造した場所について、産地名の意味を誤認させるような用語を表示すること。
・ナトリウム塩を添加している食品に、栄養成分表示として食塩相当量ではなく、ナトリウムの量を表示すること。
・牛乳以外の飲料に、屋根型紙パック容器の上端の一部を1ヶ所切り欠いた表示をすること。
上記のほか、食品表示基準では、しょうゆに「自然」と表示してはならないといった、個別の食品毎に表示禁止事項が規定されています。
景品表示法で禁止している表示
不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示は禁止されています。
⚫優良誤認表示(商品・サービスの品質や規格、その他商品そのものの内容についての不当表示)
例: 国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していたが、実はブランド牛ではない国産牛肉だった。
⚫有利誤認表示(商品、サービスの価格その他の取引条件についての不当表示)
例:「キャンペーン期間中につき増量」と表示して販売していたが、通常の内容量と同じだった。
健康増進法で禁止している表示
食品について、実際と異なる成分の含有に関する表示や科学的根拠のない健康の保持・増進効果、医薬品を思わせるような効能などの表示は禁止されています。
例:
・「◯◯が△△mg含まれている」旨を表示しているが、実際には成分は含まれていなかった。
・「美しい理想の体型に」と身体を美化し、容貌を変える効果を表示しているが、実証するデータがなかった。
・「血糖値や糖質が気になる人に」「動脈硬化を防ぐ」「歯が強くなります」など医薬品と同等の効能効果を表示していた。
また、食品表示基準においても、保健機能食品以外の食品に特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を表示することは禁止されています。
他の法律で規制されるもの
医薬品は、その有効性、安全性を確保するため、医薬品医療機器等法に基づき製造から販売、市販後の安全対策までさまざまな規制があります。疾病の治療や予防効果の表示・広告は、医薬品としての承認・許可を取得して初めて可能になります。
したがって、錠剤やカプセルといった医薬品のような形状の食品に、医薬品と誤認させる効能効果などの表示・広告を行ったり、医薬品に該当する成分を配合したりした場合は、未承認の医薬品として取り締まりの対象になります。