中山七里さんの護れなかった者たちへの名言
「ああ、もう最近の若いヤツってのは人の厚意までカネて返そうっていうのかね」
「いや、そのつもりは」
「人から受けた恩は別の人間に返しな。でないと世間が狭くなるよ」
「とういう理屈だよ」
「厚意とか思いやりなんてのは、一対一でやり取りするようなもんじゃないんだよ。それじゃあお中元やお歳暮と一緒じゃないか。あたしやカンちゃんにしてもらったことが嬉しかったのなら、あんたも同じように見知らぬ他人に善行を施すのさ。そういうのが沢山重なって、世の中ってのはだんだんよくなっていくんだ。でもね、それは別に気張ってするようなことでも押しつけることでもないから。機会があるまで憶えておきゃあ、それでいい」