なあ、久美ちゃん。困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。
三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。
どうだい? そんなに難しいことじゃないだろ? だって人間は、そういうふうにできているんだ。
とまらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばかり向いているわけにもいかない。歩き出すために足はあるんだよ。
言葉っていうのは、魔物だ。人を傷つけも、励ましもする。本やネットを目で追うよりも、話せばなおのこと、生きた力をみなぎらせる。この魔物をどう繰るか。それは、話す人次第なのだ。
いい魔物にするのも、悪い魔物にするのも、スピーカー次第。聴く人を落ちこませるのも、元気にするのも、全部、スピーカー次第なのだ。
「わかってないのねえ。言葉は、メッセージカードのようなものよ」
一枚一枚に、自分の思いを書きつける。とっておくもよし、日々を眺めるのもよし。必要なくなれば、破って燃やしてもいい。死ぬまでずっと、心にしまっておいてもいい。
でも、誰かの目に、耳に触れれば、なおいいだろう。誰かに伝えられれば、なおすばらしいだろう。思いを共有できることもあるかもしれない。心と心を、響き合わせることもできるかもしれない。
言葉の力を、あなたも信じてみたらとう?