2020年8月に読んだ小説の中からおすすめ小説をランキング
おすすめ度 4.0
夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった小学五年生の恭平は、仕事で訪れ旅館に宿泊した物理学者の湯川学と親しくなる。
そして、恭平は夏休みの自由研究や宿題を湯川に手伝ってもらう。
この旅館のもう一人の宿泊客塚原が崖の下で死んでいるのが見つかった。
湯川は事故死にしては不審な点があると感じた。
塚原は元刑事で、昔、玻璃ヶ浦に関係ある男を殺人容疑で逮捕したことがあった。
塚原はなぜ玻璃ヶ浦に来てこの旅館に宿泊したのか?
塚原は事故で死んだのか、それとも誰かに殺害されたのか?
殺害されたとしたら、なぜ殺害されたのか? 犯人は?
湯川だけが気づいてしまう真相とは? 湯川に導かれ警視庁の刑事草薙も真相へ近づいていく。
おすすめ度 4.0
東日本大震災の被災地にある遠間第一小学校に応援教師として、神戸から小野寺徹平が赴任した。
熱血教師の小野寺は、子どもたちが我慢して生きていると感じた。子どもたちに我慢を強いることはよくないと、不平、不満など言いたいことを吐き出すために『わがんね新聞』をつくる。『わがんね新聞』の書き出しは小野寺の言葉ではじまる。
"遠間市立遠間第一小学校の諸君
町は全然復興しないし、家には帰れない。こんな生活はイヤだ。いや、おかしいぞ!
みんなもっと怒れ、泣け、そして大人たちに、しっかりせんかい! と言おう。
『わがんね新聞』は、この世の中と大人たちにダメだしする新聞です"
被災地の抱える問題、被災地の現状と混乱を小学校を舞台に浮き上がらせていく。そして未来へと向かっていく希望の連作短編集。
おすすめ度 3.8
農薬散布中のラジコンヘリが、自然教室にいた小学生の集団に薬剤を撒き散らし墜落した。子供が痙攣し、ミツバチの死骸が散乱した。そこから始まる農薬の是非について。
農薬は使い方さえ間違えなければ安全だという農薬開発者。事故現場にいた養蜂家は違う考えを持つ。農水省の女性キャリアは遺伝子組み換え食品の問題へとぶち当たる。マスコミは面白おかしく報道する。それぞれの思いがあり、それぞれの戦いが始まる。
農薬を使わなければ、安定して安価な農作物は作れないし、農家の高齢化を考えると、無農薬は農家の負担は大きい。
遺伝子組み換え食品なら農薬を使わないでよいかもしれないが、安全性には不安がある。
日本は遺伝子組み換え食品に否定的だが、地球温暖化の影響で世界中で干魃が続き、農作物が育たなくなっている。そのうち食料不足の時代がやってくる。そうなった時には遺伝子組み換え作物は水がなくても育つので必要になるかもしれない。
今でも、世界では食料がなく飢餓で亡くなる人がたくさんいる。遺伝子組み換え作物なら砂漠でもトウモロコシが育つ。それで助かる命がある。
遺伝子組み換えを否定するだけの日本は世界から取り残されているのかもしれない。
おすすめ度 3.6
精神科病棟に入院する患者たちの過去と現在の物語。
前半は、入院患者たちそれぞれの過去の暗い出来事で構成されていて、重くて暗い展開で、なかなか読み進みませんでした。
中盤は、入院患者たちが、重い過去を引きずりながらも、患者たち同士仲良く協力して、明るく生きようとする姿が描かれる。
後半には、殺人事件が起こる。ストーリーが一気に動く。車イス患者の秀丸が、元ヤクザの入院患者を殺害してしまう。
おすすめ度 3.6
小さなコンビニ、ミユキマートのオーナーの幹郎は妻子を事故で亡くしてしまった。二人を幸せにできなかったことを悔やんで、気力のない生活を送っていた。
ミユキマートには、幹郎のように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。
・堅気の女性に惚れてしまったヤクザの恋物語。
・交通事故で亡くなった年配男の妻と愛人。
・端役しかもらえず声を失ってしまった女優の卵。
・男のヒモになり、借金とりから逃げ回る水商売の女。
・恋人に命じられて万引きや売春をする女子高生。
・ミユキマートの前のベンチで会う年寄りの純愛。
彼らは、そこで泣き、迷い、やがて、それぞれの答えを見つけていく。温かさが心にしみる連作短編集。
おすすめ度 3.5
派遣社員の三智子は小さな出版社に勤めている。
恋人にふられた翌日、上司のアッコからお弁当とランチを一週間交換しようと言ってくる。
アッコは、長身で独身の45歳。迫力ある女性だ。
アッコのかわりにランチに行く三智子は、今まで経験したことのない世界をのぞき元気になっていく。
おすすめ度 3.5
メールだけで話して気の合う彼女に恋をした。メールから始まる二人の恋物語。
向坂伸行は、昔読んだ忘れられない本の感想を検索してあるブログを見つけた。
見つけたブログのタイトルは『レインツリーの国』
『レインツリーの国』に書いてあった本の感想を読んだ伸行は、この『レインツリーの国』の管理人のひとみと話がしたいとメールを送った。
それから始まったひとみとのメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内の時間は流れが速い。
伸行は、あっという間にひとみに会いたいと思うようになっていた。だが、ひとみは会うことを拒む。かたくなに会うのを拒むひとみには、そうせざるを得ないある理由があった。
おすすめ度 3.3
あたらしく石原中学に赴任してきた秋葉は、この学校は問題児や不良生徒のいない平和な学校だなと思っていた。しかし、話を聞くと去年までは問題の多い学校だったようだ。
なぜ、急に平和な学校になったのだろうか?
秋葉は平和な学校だが、長期欠席者が多いことが気になった。
秋葉が長期欠席者が多いことを調べていくうちに、匿名生徒による自警団のガーディアンの存在を知る。
ガーディアンは問題のある生徒らに制裁を行って学校を守っている。
しかし、秋葉はそれは本当の解決ではないと、ガーディアンと対決する。
秋葉は教師としての無力さを感じながらも、どう生徒と向き合うべきかを改めて感じる。