人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

二宮敦人さんの「郵便配達人 花木瞳子が顧り見る」から表現、描写を学ぶ

私は定年後に趣味と実益をかねて小説を書けるようになりたいと思っています。

今でも、とりあえず書いているのですが、なかなか難しい。

短編を書くのがやっとで、その出来上がった小説を読み返してみると、なんとひどいことか。

自分の表現力や描写の稚拙さに情けなくなり挫折しそうになります。

そこで、小説家の方々の素晴らしい表現、描写をここに残して、身につけていこうと思っています。

私と同じように小説家の表現、描写に興味のある方はご覧下さい。

今回は二宮敦人さんの『郵便配達人 花木瞳子が顧り見る』です。

大沢在昌さんの作品をはじめて読みます。

楽しみです。

 もう一度読み返す。平仮名ばかりで目が滑る。

 ぐっ。ぐっ。みるみるうちにかさは減り、ビールは瞳子の胃へと吸い込まれていく。ジョッキの傾きが垂直に近づくにつれ、瞳子は上半身を大きくのけ反らせ、その胸を前に突き出した。

 帰りの電車の中で、夏生は吊革を掴んだまま俯いていた。

 夜闇を家々の明かりが切り裂き、線を描いて遠ざかっていく。車内の扇風機が、漫然と乗客の髪を揺らしている。

 今日はゲリラ豪雨来るかもなあ。

 瞳子は車窓から外を眺めて思った。黒い入道雲が空を圧するように浮かんでいる。

「何だよ、言えよ。俺とお前の仲じゃんか」

後當は顎から一本飛び出た無精ひげを指でいじりながら言う。夏生は頷くと、静かに切り出した。

 蚊取り線香から糸のように煙が立ち、外へと流れていく。水野はそれを追って、縁側の外を眺めた。

 心がざわつく。恐怖が胸を汚染する。

 動悸が激しくなり、鼓膜に薄皮でも張ったかのように音が消えていく。