中山七里さんのさよならドビュッシーに出てくる名言
難しい言葉で艱難辛苦と言うがな。ただ、苦難はそいつに与えられた試練や。艱難汝を玉にす。乗り越えられた者は強くなるし、乗り越えられなかった者はそこで押し潰されて終わる。
「いいや、同じ夢を追うにしても遥と研三ではずいぶん違うぞ。あいつが追っておるのは寝てる夢、お前が追っておるのは起きて見る夢やからな」
「どういう意味?」
「そいつが現実の中でどれだけ足掻いておるか、という意味さ。遥はピアニストになるのが夢やろう?」
世の中にはお爺ちゃんみたいに人の上に君臨するために生まれてきたような人もいれば、組織の中で能力を発揮するお父さんみたいな人もいる。どちらがどう、ということではない。それはきっと適性の問題なのだ。
武道でも稽古事でも何でもいいが、何事か達観したり修羅場を潜り抜けたりすると人間には筋ができる。想像を越えるような苦難に遭っても立ち向かえるよう、日頃の行住坐臥の中でその人間を支える支柱になる。