人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

風景の表現、描写を小説から学ぶ

山が連なって小さな山脈をなしているのが、まるで空に浮いているようだった

四日間の奇蹟 吉岡秀隆 Amazon 柵の向こうで斜面は急に落ち込んでいるらしく、左側に幾つかの山が連なって小さな山脈をなしているのが、まるで空に浮いているようだった。右手には湖水が見える。一端が人工的な直線で区切られていて、ダムなのだと察せられた…

ところどころにたまった朝露が、芝の合間できらきらと輝きを放っているのがわかった

四日間の奇蹟 (宝島社文庫) 作者:浅倉卓弥 宝島社 Amazon 広くはない山頂の場所であるから、緑色の絨毯はたちまち落ち込み、間近に地平線を作っていた。すでに青く変わった空が、その直線のすぐ後ろにせり出している。二つの色彩のコントラストは鮮やかだっ…

潮風に乗ってはるか上空を舞い飛ぶカモメたちは、真っ青な秋空のなかに白い点となっている

潮騒は子守唄のような心地よさで、寄せては返し、寄せては返し、遠く近く、響き渡っている。 潮風に乗ってはるか上空を舞い飛ぶカモメたちは、真っ青な秋空のなかに白い点となっている。 原田マハさんのリーチ先生

ところどころ、ひび割れのあるコンクリートのホーム

ところどころ、ひび割れのあるコンクリートのホーム。そのひび割れた隙間にも、雑草たちはびっしり根を張っていた。 森沢明夫さんのおいしくて泣くときより

真夏の白い日差しをきらきら照り返す街並み

窓ガラスの外に目をやると、真夏の白い日差しをきらきら照り返す街並みが、心地いい速さで流れていた。 森沢明夫さんのおいしくて泣くときより

昔ながらの黒い板壁や欞子(れんじ)窓を持っており

この町の多くの家は、昔ながらの黒い板壁や欞子(れんじ)窓を持っており、玄関先の松の枝ぶりもよく、そういう宿場町のような家並みの間を歩いていると遠い昔が偲ばれ、今なお伝統とともにあるこの地の人たちをうらやましく思う。 葉桜の季節に君を想うとい…

黒い梢を静脈のように伸ばしている

欅並木はすっかり葉を落とし、暮れかけてきた空に黒い梢を静脈のように伸ばしている。もう少し経つと、この梢にクリスマス用の電飾が巻かれるだろう。 古内一絵さんのキネマトグラフィカより

天から零れたような島々

展望台へたどり着く。 見渡す瀬戸内海と島々が、白く煙(けぶ)っていた。 眼下の森と、海原と、天から零れたような島々 七月隆文さんの天使は奇跡を希うより

穏やかな瑪瑙(めのう)色の海に浮かぶ小さな島々

穏やかな瑪瑙(めのう)色の海に浮かぶ小さな島々は何か神秘的な配置に映って、イザナギとイザナミの持つ矛からぽたぽた落ちた滴が島になったという古事記の神話はこういう景色から生まれたんじゃないかと想像してしまう。 七月隆文さんの天使は奇跡を希うより

太陽の光を浴びた芝の緑がまぶしく見える

新館と旧館のあいだにある中庭は、その真ん中に人が憩えるようにと噴水池が造られている。夏を迎えたいま、池は蓮の花が満開だ。池の周りには芝生が植えられ、太陽の光を浴びた芝の緑がまぶしく見える。 関口尚さんのパコと魔法の絵本より

かすみがかった空中にふっつりと消えるように見えた

バスが去っていった道は、ずっと向こうの方で緩やかにカーブして、かすみがかった空中にふっつりと消えるように見えた。道路か丸く膨らんでいるところが海に向かって少しせり出し、小さな崖のようになっている。その崖っぷちに小屋が立っている。 原田マハさ…

田園地帯の深い闇と、それを侵食する住宅団地の浅い闇とが入り組む

車窓は暗かった。田園地帯の深い闇と、それを侵食する住宅団地の浅い闇とが入り組む県道をヘッドライトが切り裂く。 横山秀夫さんの動機より

かさぶたのようにめくれあがったペンキ

蛍はボトルのまわりをよろめきながら一周したり、かさぶたのようにめくれあがったペンキに足をかけたりしていた。 村上春樹さんのノルウェイの森より

雑然としたビルの群れ、くすんだ空、品のない看板

そうして外の景色を眺める。雑然としたビルの群れ、くすんだ空、品のない看板。 が、それらの風景も、並行して走っている京浜東北線の車両に阻まれることが多かった。 東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーより

秋の曇り空の分厚い雲と混じり合っている

銀鼠色の海が間近に迫り、無機質でかっこいい造型のコンビナートから吐き出される白い煙は秋の曇り空の分厚い雲と混じり合っている。 名取佐和子さんのペンギン鉄道 なくしもの係より

異界に沈むような深い森に変わった

タクシーは国道を右折して、線路を跨ぐループ橋を渡った。すると風景はたちまち、異界に沈むような深い森に変わった。 浅田次郎さんのハッピーリタイアメントより

ぱらぱらと出てくる人々が、楽しげに言葉を交わしながら駅に吸いこまれていく

「ジョイフルシネマ」の青いネオンが、夕闇に浮かび上がっている。ぱらぱらと出てくる人々が、楽しげに言葉を交わしながら駅に吸いこまれていく。 原田マハさんのキネマの神様より

横顔を、雪降る窓が縁取っていた

俯いた武志の横顔を、雪降る窓が縁取っていた。 浅田次郎さんのおもかげより

荒れ果てた工場が建ち、どんよりと風の動かぬ、モノクロフィルムのような風景の中に

荒れ果てた工場が建ち、どんよりと風の動かぬ、モノクロフィルムのような風景の中に、巨大な煙突が何本も魔物のように佇んでいた。 浅田次郎さんの日輪の遺産より

鮮やかな杉苔の緑、その上を覆う紅葉の落ち葉

鮮やかな杉苔の緑、その上を覆う紅葉の落ち葉。その鮮烈な赤。その合間を縫って、一条の陽光が差し込む。光に照らされたところだけ、苔も、落ち葉も、黄色く、また白く輝いている。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より

薄雲が嵯峨野の山のいただきを墨絵のように霞ませている。

朝から降り続いていた雨が上がり、薄雲が嵯峨野の山のいただきを墨絵のように霞ませている。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より

夕日に稜線を際立たせる八ヶ岳の峰

田端さんは、夕日に稜線を際立たせる八ヶ岳の峰を庭から眺めて、「こりゃあ、絶景だな」とため息をついた。 原田マハさんの生きるぼくらより

その斜面をオレンジ色に輝かせて、太陽がゆっくりと傾いていく

真っ白い雪原の彼方に、悠々と横たわる八ヶ岳の峰。その斜面をオレンジ色に輝かせて、太陽がゆっくりと傾いていく。 原田マハさんの生きるぼくらより

林の木々の影が薄青く伸びて、寒々しい道に見える

急な勾配の峠の道は、うっすらと雪が積もり、午後の日差しに輝いていた。それがいま、林の木々の影が薄青く伸びて、寒々しい道に見える。行きと帰りで、こんなに風景が違って見えるなんて。 原田マハさんの生きるぼくらより

冬の日差しを照り返し、近くの小高い山の姿を逆さまに映して、静かに広がる湖面

人生の目の前に現れたもの。それは、静まり返った小さな湖だった。 冬の日差しを照り返し、近くの小高い山の姿を逆さまに映して、静かに広がる湖面。清潔な青空が、そのまま大地に下りてきたかのようだ。ときおり吹き過ぎる風に揺れる木立、かすかにざわめく…

雪を被った峰々はかたち良く尖り、朝日を弾いて中空に居並んでいる

茅葺き屋根の背景には、真っ青な冬の空が広がっている。その中に、八ヶ岳連峰がくっきりと浮かび上がっていた。雪を被った峰々はかたち良く尖り、朝日を弾いて中空に居並んでいる。堂々として立つ雄大な姿に心を奪われて、人生は立ち尽くした。 原田マハさん…

通い慣れた並木道が続く。プラタナスの葉に風が渡って、Tシャツの肩を滴が濡らした

通い慣れた並木道が続く。プラタナスの葉に風が渡って、Tシャツの肩を滴が濡らした。 浅田次郎さんの椿山課長の七日間より

群青色の山肌が風景の奥に妙にどっしりと立ちはだかっていた

山の表現 玄関から大野山が眺められた。桜の色は消え、群青色の山肌が風景の奥に妙にどっしりと立ちはだかっていた。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より

青い空と白い雲は川縁の濃い緑と鮮やかなコントラストを成し

東北の夏の表現 水辺を遊ぶようにシオカラトンボが飛び交じっている。青い空と白い雲は川縁の濃い緑と鮮やかなコントラストを成し、短くも美しい東北の夏の到来を告げている。 真山仁さんの海は見えるかより

真っ黒い闇の中に、自分の顔が映っている

バスの窓から外を眺めるの表現 水滴がいっぱいついた窓ガラスを拭くと、 真っ黒い闇の中に、自分の顔が映っている。バスは高層ビルの立ち並ぶ街を抜け、高速道路をひた走る。 小川糸さんの食堂かたつむりより