人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

2020-12-08から1日間の記事一覧

つややかな黒髪のおかっぱ頭と、ふっくらとしたリンゴのように赤い頬。化粧っ気のない顔

つややかな黒髪のおかっぱ頭と、ふっくらとしたリンゴのように赤い頬。化粧っ気のない顔。どう見ても高校生以下にしか見えない。 原田マハさんの生きるぼくらより

胸のずっと奥で、ふっとあたたかい灯火が揺れるような感触を覚えた

ありがとね。聞いてくれて。 その言葉に、胸のずっと奥で、ふっとあたたかい灯火が揺れるような感触を覚えた。 原田マハさんの生きるぼくらより

冬の日差しを照り返し、近くの小高い山の姿を逆さまに映して、静かに広がる湖面

人生の目の前に現れたもの。それは、静まり返った小さな湖だった。 冬の日差しを照り返し、近くの小高い山の姿を逆さまに映して、静かに広がる湖面。清潔な青空が、そのまま大地に下りてきたかのようだ。ときおり吹き過ぎる風に揺れる木立、かすかにざわめく…

林の木々の影が薄青く伸びて、寒々しい道に見える

急な勾配の峠の道は、うっすらと雪が積もり、午後の日差しに輝いていた。それがいま、林の木々の影が薄青く伸びて、寒々しい道に見える。行きと帰りで、こんなに風景が違って見えるなんて。 原田マハさんの生きるぼくらより

耳もとを通り過ぎる風のような、ささやかな声がした

「……行っちゃうのね」 耳もとを通り過ぎる風のような、ささやかな声がした。人生は、もう一度、ばあちゃんを見た。ばあちゃんの目には、いっぱいに涙が浮かんでいた。それを振り切るようにして、人生は玄関へと急いだ。 原田マハさんの生きるぼくらより

ヘッドライトが目の前の闇を切り裂くようにして進む

ふたりを乗せた軽自動車は、真っ暗な山道に入っていった。 車が進む道沿いには街灯もない。ヘッドライトが目の前の闇を切り裂くようにして進む。すれ違う車もなければ、通行人などいるはずもない。 原田マハさんの生きるぼくらより

ぜいぜいと荒い呼吸をするように、軽自動車はエンジン音を唸らせて山道を登っていった

道路脇には除雪された雪がこんもりと積み上がっている。ぜいぜいと荒い呼吸をするように、軽自動車はエンジン音を唸らせて山道を登っていった。 原田マハさんの生きるぼくらより

森の中で見知らぬ獣に出会った子鹿のように、黒い瞳が震えている

おかっぱ頭の……若い娘。 人生は、ぽかんとして彼女の顔をみつめた。赤い丹前を着たおかっぱ娘は、真一文字に口を結んで、人生を見据えている。森の中で見知らぬ獣に出会った子鹿のように、黒い瞳が震えている。人生は、何か言おうとして口を半開きにしたまま…

ちんまりとした体が現れた。少し前屈みの姿勢、きちんと結い上げた銀色の髪

ぎし、ぎしと足音が近づいて、ちんまりとした体が現れた。少し前屈みの姿勢、きちんと結い上げた銀色の髪。奥目をしょぼしょぼとさせて、温和な顔が人生のほうを向いた。 今度こそ、間違いなく、マーサばあちゃんだった。 原田マハさんの生きるぼくらより

伏せたまぶたのまつげがびっくりするほど長い。ふっくらした頬はうっすらと桃色だ

つややかな黒髪のおかっぱ頭の少女は、昨夜一見したときには、中学生くらいの印象だった。けれどいま、こうして見ると、高校生くらいに見える。 伏せたまぶたのまつげがびっくりするほど長い。ふっくらした頬はうっすらと桃色だ。 原田マハさんの生きるぼく…

雪を被った峰々はかたち良く尖り、朝日を弾いて中空に居並んでいる

茅葺き屋根の背景には、真っ青な冬の空が広がっている。その中に、八ヶ岳連峰がくっきりと浮かび上がっていた。雪を被った峰々はかたち良く尖り、朝日を弾いて中空に居並んでいる。堂々として立つ雄大な姿に心を奪われて、人生は立ち尽くした。 原田マハさん…

つゆを吸った油揚げはほんのり甘く、口の中いっぱいにうまみが広がる

割り箸を割って、熱々の麺をすくい上げる。息を吹きかけて、勢いよくすする。 ……うまい。 そばは、胃の腑へするすると落ちていった。かつおだしのつゆを飲む。これも、沁みるほどうまかった。つゆを吸った油揚げはほんのり甘く、口の中いっぱいにうまみが広…

心臓が、どくんと震えるのを感じた

心臓が、どくんと震えるのを感じた。その封筒は、どこからどう見ても、由緒正しい「遺書」にしか見えなかった。 原田マハさんの生きるぼくらより

知らず知らず膨らんでいた期待が、あっというまに萎んでいく

知らず知らず膨らんでいた期待が、あっというまに萎んでいく。 たった十枚の、ごく形式的な年賀状。それが、母が息子に残すことのできた唯一の宝物だったとは。 原田マハさんの生きるぼくらより

あの頃、確かに、人生少年の心には羽根が生えていた

もうすぐ会える。ばあちゃんに会える。 あの頃、確かに、人生少年の心には羽根が生えていた。 あのとき生えていた、一対の羽根。いつのまにか、なくしてしまった。 原田マハさんの生きるぼくらより

梅干しの酸味を中和する、海苔の香ばしさとご飯の甘み。まん丸いおにぎりは、母のあたたかな手のひらの味わいそのものだった

あの頃、母の手製のおにぎりは、この世でいちばんおいしい食べ物だった。 梅干しの酸味を中和する、海苔の香ばしさとご飯の甘み。まん丸いおにぎりは、母のあたたかな手のひらの味わいそのものだった。 原田マハさんの生きるぼくらより