人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

悲しみ、苦痛の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ

頬から首筋にかけては血の気がひいたように白かった

未緒は頷くかわりに、濃い睫を伏せた。目の縁は赤いが、頬から首筋にかけては血の気がひいたように白かった。 東野圭吾さんの眠りの森より

ハンカチを握りしめた右手だけは、終始震えたままだった

遺体の確認に現れた敏樹は、ひと目見て自分の息子だと断言した。多少息が乱れてはいたが、こういう事態に直面しているとは思えぬほど落ち着いた口調だった。ただハンカチを握りしめた右手だけは、終始震えたままだった。 東野圭吾さんのブルータスの心臓より

角質化した瘡蓋(かさぶた)を剥がされたように

角質化した瘡蓋(かさぶた)を剥がされたように、忘れていた悪感情が奔流となって甦る。 ネメシスの使者 (文春文庫) 作者:中山 七里 文藝春秋 Amazon

胸がきゅんと寂しい音を立てた

「行ってしもうたなあ」 誰かが言うと、 「来なさるときゃ、まだか、まだか、ちゅうて、そわそわして待っとったもんやけんど、帰っていきなさるときゃ、なんともあっけねえもんばい」 別の誰かが応えた。 その言葉に、高市の胸がきゅんと寂しい音を立てた。 …

目の中に揺らいでいたかすかな灯火が、ふっと消え失せた

「亡くなりました。……三年前に」 次の瞬間、日置の目の中に揺らいでいたかすかな灯火が、ふっと消え失せた。 原田マハさんの美しき愚かものたちのタブロー

泥のように重たい後悔に

泥のように重たい後悔に、いままでずっととらわれていた。けれど、この場所でのさまざまな人びととの出会いが、清水となって少しずつ泥を洗い流してくれた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

視界が歪み、黄色に染まった

激痛。安斎は下腹を押さえた。視界が歪み、黄色に染まった。 横山秀夫さんの動機より

涙目になって、ぽっちゃりとした頬を両手に埋めた

「最低です。あの人。ホテルに何度も誘われました。私、もうどうしたらいいか……」 好子は涙目になって、ぽっちゃりとした頬を両手に埋めた。 横山秀夫さんの動機より

ざらりとした無精髭の感触と、浮いた脂が掌に付着する手応えがあった

顔をこすると、ざらりとした無精髭の感触と、浮いた脂が掌に付着する手応えがあった。顔さえも洗っていないことを思い出した。 東野圭吾さんのさまよう刃より

智彦は暗い目をしていた。一瞬唇が、まるで笑みでも浮かべるように曲がった

智彦は暗い目をしていた。一瞬唇が、まるで笑みでも浮かべるように曲がった。皮肉な笑いか、それとも自嘲したのか。その表情のまま、ふらりと立ち上がった。そして歩きだす。 東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーより

痩せ細った心で瑞穂は思った

「千恵子、元気でね。私も私なりに頑張るから」 千恵子は送りに出なかった。 別々の道を歩き始めた。もう会えなくなるかもしれない。決別……。やはり今年の春は苦すぎると、痩せ細った心で瑞穂は思った。 横山秀夫さんの顔(FACE)より

薄暗い感情が蠢(うごめ)いている

以前は壁一面に似顔絵があって賑やかだった。すべて剥がした。画材もスケッチブックも、今はベッドの下に眠っている。 傷口は開いたままだった。その内部はじくじくと膿んで、薄暗い感情が蠢(うごめ)いている。 横山秀夫さんの顔(FACE)より

ふたつの影の片方が、枯れかけたひまわりのように、うなだれた

ゼロ先生が、ぐっと息をのんだ。ふたつの影の片方が、枯れかけたひまわりのように、うなだれた。 原田マハさんの翔ぶ少女より

前歯で唇を噛みしめると、悲しいえくぼが頬にうがたれた

少年の顔は崩れるように歪んだ。前歯で唇を噛みしめると、悲しいえくぼが頬にうがたれた。 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより

みち子の瞳はしおたれるように悲しくなった

「嘘をつくなよ。望んでいないはずはない」 一瞬、気色ばんだあとで、みち子の瞳はしおたれるように悲しくなった。 「望んではいけないのよ」 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより

清音の笑顔が一瞬、泣き出す寸前のようにやわらかく歪むのを見た気がした

電車がゆっくりと動き出す。清音の笑顔が一瞬、泣き出す寸前のようにやわらかく歪むのを見た気がした。 車窓は明るいひと続きの風になって、線路の彼方へと消えていった。 原田マハさんのキネマの神様より

知らず知らず膨らんでいた期待が、あっというまに萎んでいく

知らず知らず膨らんでいた期待が、あっというまに萎んでいく。 たった十枚の、ごく形式的な年賀状。それが、母が息子に残すことのできた唯一の宝物だったとは。 原田マハさんの生きるぼくらより

彼女を包む優雅な気配は、日が沈むようにゆっくりと翳りを見せ始めていた

薫は顎を引き、綾音の様子を見つめた。美貌の容疑者は、目を伏せ、唇を結んだ。まだかすかに笑みを残してはいたが、彼女を包む優雅な気配は、日が沈むようにゆっくりと翳りを見せ始めていた。 東野圭吾さんの聖女の救済より

彼女は崩れるように床に膝をついた。肩が小刻みに震えるのを草薙は見た

悲しみと衝撃が、改めて綾音の全身を襲ったらしい。彼女は崩れるように床に膝をついた。肩が小刻みに震えるのを草薙は見た。しゃっくりするような泣き声が、かすかに漏れている。 東野圭吾さんの聖女の救済より

彼の表情に浮かぶ陰鬱な色

彼の表情に浮かぶ陰鬱な色は、宵闇のせいか、それとも六年の重い歳月のせいか。六年前の若さは、今の彼のどこにも見当たらなかった。 雫井脩介さんの犯人に告ぐ

この言葉は沙織の胸に鋭く突き刺さった。その剣先は心の奥底まで達し

この言葉は沙織の胸に鋭く突き刺さった。その剣先は心の奥底まで達し、長年秘め続け、もはや自分でも手がつけられなくなっていた古傷に触れた。そのあまりの痛みに目眩がしそうになった。 東野圭吾さんの虚ろな十字架

気持ちは石のように動かない

落ち込む気持ちの表現 秀丸さんがいなくなった。島崎さんもどこに行ったかわからない。そのうえ明日から昭八ちゃんも姿を消す。 本当は昭八ちゃんの退院を心から喜んでやらなければいけないのに、気持ちは石のように動かない。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より

胸の奥の裏側から何かがどろりと溶け出してきそうな気持ち

椿と飲んだことがそんなにも嬉しかったのか、と思うと、胸の奥の裏側から何かがどろりと溶け出してきそうな気持ちになる。 朝井リョウさんのもう一度生まれるより

気持ちが得体の知れないマーブル模様のように歪んで捩れて、感情が一つの場所に吸い込まれていく

感情がバラバラの表現 俯くと、涙が出そうだった。 感傷的になっているのか、せつないからか、チエミに会いたいからか。どれかわからず、どれでもあり、どれでもない。気持ちが得体の知れないマーブル模様のように歪んで捩れて、感情が一つの場所に吸い込ま…

泣きたい気持ちが、ストローで吸い上げるようにきゅーっと胸元までせり上がってくる

別れの辛さの表現 さよなら、南の島。ありがとう、つるかめ助産院。 私は何度もその言葉を繰り返した。たった三日間留まっただけなのに、泣きたい気持ちが、ストローで吸い上げるようにきゅーっと胸元までせり上がってくる。 小川糸さんのつるかめ助産院より

キャラメルマキアートの苦みが、胃の中で突然、波打ち始める

嫌なことを思い出す表現 「でも大変だね。それをやりながら、本の執筆も続けるんでしょ?」 本の執筆。 さっきまで感じていなかったキャラメルマキアートの苦みが、胃の中で突然、波打ち始める。 「うん、まあね」 「ほんとに強いよ、あんたは」 朝井リョウ…

胸にこみ上げてくる思いが、僕の内なる紐を引っ張ろうとする

別れの悲しみの表現 玄関まで見送りに来てくれた霜月りさ子は、「あの」と声をかけてくれた。「結婚する星野さんにこういうことを言うのもなんですけど、この一年半、楽しかったです。会えて良かったです」 言葉に詰まる。胸にこみ上げてくる思いが、僕の内…

透明の、珠のようなものに罅(ひび)が入る感覚に襲われた。痛みとも痒みとも異なる皹(ひび)が胸にできる

未練、別れのさびしさの表現 僕もそれに続き、部屋のドアに近づくが、もうここには来ないのだな、と思うと胸の中の、透明の、珠のようなものに罅(ひび)が入る感覚に襲われた。痛みとも痒みとも異なる皹(ひび)が胸にできる。廣瀬あかりの部屋をぐるりと見渡す…

目や鼻の付近をぎゅっと絞られるかのような感覚に襲われ

別れの切なさの表現 「海斗には」と彼女が続けて口にした瞬間、僕は目や鼻の付近をぎゅっと絞られるかのような感覚に襲われ、慌てて、背中を向けた。 伊坂幸太郎さんのバイバイ、ブラックバードより

体の外側を覆う皮膚と内側の内蔵が引っくり返そうな感覚になる

ショックを受けた時の表現 ボクは、その場に立ち竦んだ。色が白いことも背が小さいことも極端に痩せていることも馬鹿にされるのは慣れている。けれど、「オカマ」という単語だけは、耳にした瞬間、体の外側を覆う皮膚と内側の内蔵が引っくり返りそうな感覚に…