2020-08-26から1日間の記事一覧
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閉鎖病棟 (新潮文庫) 作者:蓬生, 帚木 新潮社 Amazon おすすめ度 3.6 感動する ☆☆☆ 笑える スリル ☆☆ ビックリ ☆☆ 先が気になる ☆☆ ほのぼの ためになる ☆☆ 心に残る ☆☆☆☆ 切ない ☆☆☆☆ 怖い ☆☆☆ 重い ☆☆☆☆☆ すいすい読める ☆ 前半は重苦しくて進まなかったけ…
落ち込む気持ちの表現 秀丸さんがいなくなった。島崎さんもどこに行ったかわからない。そのうえ明日から昭八ちゃんも姿を消す。 本当は昭八ちゃんの退院を心から喜んでやらなければいけないのに、気持ちは石のように動かない。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
涙の表現 チュウさんは瞼を閉じ、溢れそうになった涙を絞り落とした。 これではいけない。昭八ちゃんが病院を出ていくときは、笑顔で見送ってやろう。チュウさんは両手で顔を何度かこすって、涙のあとをぬぐう。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
忙しい時の表情 息子と弟が一度に退院となり、気忙しいものがあるのだろう。昭八ちゃんの姉さんは鼻の頭に汗の玉をいくつも光らせていた。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
悲しみの表現 「心筋梗塞で死に目には間に合わんかった。この間会うたのが最後になってしもうた」 もう充分悲しんだつもりたったが、言葉が湿った。 「あん時、団子ばおすそわけしてもろうた。ええ母さんじゃったのう」 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
山の表現 玄関から大野山が眺められた。桜の色は消え、群青色の山肌が風景の奥に妙にどっしりと立ちはだかっていた。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
霧雨の表現 一晩中音をたてて降っていた雨が、夜明けとともに勢いをなくした。 風向きが変わるたびに霧雨が揺れる。湿った空気の底で大野山が黒い輪郭をみせていた。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
陽射しの表現 運動場には患者たちが出ていた。看護士の姿はない。 車椅子をとめて、ソフトボールの試合を眺める。風が冷たく、雨あがりの陽射しがナイフの刃のように鋭い。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より
春の陽光の表現 桜がむせ返るように迫っていた。陽の光はいったん桜の天蓋(てんがい)に吸収され、柔らかい間接光になって頭上にふりそそぐ。いったん桜の下にはいると、誰もが晴れやかな顔になった。 帚木蓬生さんの閉鎖病棟より