2021-02-15から1日間の記事一覧
そう言うそばから、次々と掘り起こされてゆく記憶の鶴嘴が、がつんと岩を噛んだ。 浅田次郎さんのおもかげより
マダムは小さな顎を掌(てのひら)で支えて、雪の夜を見つめていた。いくらかなごり惜しそうな表情だった。 浅田次郎さんのおもかげより
白いタイルのくすみ具合も、いくらか波打った床も、太い円柱の艶も、人間と同様ごく自然に年老いていた。 浅田次郎さんのおもかげより
そこは青梅街道の交叉点に近い路上だった。古いアーケードが、僕らを綿雪から庇ってくれていた。 蛍光灯がくたびれ果てたように瞬いていて、夜空は思いがけないほど暗くて広かった。 浅田次郎さんのおもかげより
東京にはこんな雪がよく似合う、舞うでもなく緞帳(どんちょう)のように滑り落ちて、とたんにアスファルトを黒く染めることしかできず溶けてしまう雪が。 浅田次郎さんのおもかげより
雪が降っていた。天使が花籠から振りまくような、やさしくてやわらかな綿雪だった。 浅田次郎さんのおもかげより
なるほど、齢なりに美しい人である。銀髪は短く整えられていて、青みがかったメガネがよく似合った。貴婦人の風格を感じさせた。 浅田次郎さんのおもかげより
セッちゃんからの電話を受け取ったときは、鮨屋の椅子を倒して立ち上がった。何も聞かないうちから、何が起こったのかわかった。 浅田次郎さんのおもかげより
俯いた武志の横顔を、雪降る窓が縁取っていた。 浅田次郎さんのおもかげより
愛想のない廊下が続く。正一がどうなろうと、これでいっそう病院が嫌いになるのはたしかだと思った。 浅田次郎さんのおもかげより
綿雪の降りしきる中に、救急車が停まっていた。回転する赤いランプが煽り立つ炎に見えて、永山は立ちすくんだ。 浅田次郎さんのおもかげより
キラキラ共和国 (幻冬舎文庫) 作者:小川 糸 幻冬舎 Amazon おすすめ度 3.4 感動する ☆☆ 笑える ☆ スリル ほっこり ☆☆☆ ビックリ ☆ 先が気になる ☆ ためになる ☆☆☆ 心に残る ☆☆ 切ない ☆ 怖い 重い すいすい読める ☆☆☆☆ あらすじ ツバキ文具店の続編なので、…