人生も後半戦! これから先も楽しもう!

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

記憶の表現をおすすめ小説から学ぶ

心のひだに織りこんでいくのだ

この家の過去は深く暗い悲しみに満たされている。そうした悲しみを、僕は音楽を聞くように汲みとり、心のひだに織りこんでいくのだ。 東野圭吾さんの十字屋敷のピエロより

水底に沈んでいた気泡のようにぽつりぽつりと浮かび上がってくる。

こうして夫婦で歩いていると、長く忘れていた出来事が、水底に沈んでいた気泡のようにぽつりぽつりと浮かび上がってくる。

味のなくなったガムみたいな過去をわたしはかみ続ける

出会ったころと印象の変わらない文を見つめていると、どんどん時間が巻き戻されて、ふたりで暮らした日々を思い出す。味のなくなったガムみたいな過去をわたしはかみ続ける。 凪良ゆうさんの流浪の月より

糸がふっつりと切れてしまったように、記憶はそこで止まっていた

糸がふっつりと切れてしまったように、記憶はそこで止まっていた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

私の中でたった一つの大きな疑問として結晶し、脳裏の奥にこびりついていた

どんなに月日が流れても、あの夜のことを私は忘れられなかった。いくつかの不可解な出来事は、私の中でたった一つの大きな疑問として結晶し、脳裏の奥にこびりついていた。 なぜ母は自殺したのか、ということだ。 東野圭吾さんの分身より

ジグソーパズルが独りでに組合わさっていくように、慎介の頭の中で記憶が形を整えていった

たくさんのジグソーパズルが独りでに組合わさっていくように、慎介の頭の中で記憶が形を整えていった。漠然としていたものは、その輪郭をはっきりとさせ、乱雑だったものは順序よく並び、欠けていた部分は補充されていった。 東野圭吾さんのダイイング・アイ…

「雑多なもの」というラベルを貼った引き出しの奥底に紛れ込んでいるらしかった

キシナカレイジ、と今度は慎介が口の中で反復する番だった。その名前の知り合いはいなかった。だが脳の中にある何かを刺激する名前であることはたしかだった。それが記憶の中の、どの引き出しに入っているものなのか、慎介は必死で考えようとした。だが思い…

何かの映像が、脳裏のスクリーンに映し出されようとしていた

何かの映像が、脳裏のスクリーンに映し出されようとしていた。しかしなかなかはっきりしてこない。深い霧のようなものが、映像を遮っている。 突然、その霧がふっと途切れた。隙間から、鮮明な絵が出現した。 東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリ…

幾つかの情報が、互いに吸いよせられるかのように集まってきた

脳が勝手に動いていた。まったく無関係に存在していた幾つかの情報が、互いに吸いよせられるかのように集まってきた。翳りのある目。肌の手触り。それらは一つの結論を求めて形をなそうとしている。だが、うまくくっつかない。形にならない。きっとそう、ま…

頭の中では記憶の回線がパチパチとショートし始めていた

淡々と話すジュリエットの様子をみつめるうちに、ティムの頭の中では記憶の回線がパチパチとショートし始めていた。 おれは、確かに、彼女と会ったことがある。いや、見かけたような気がする。 わからない。いつ、どこで見かけたんだー。 原田マハさんの楽園…

心のひだにぐいっと指を突っこんできて、そのまま抜けずにおりました

その一節が、画家の心のひだにぐいっと指を突っこんできて、そのまま抜けずにおりました。 原田マハさんの楽園のカンヴァスより

一心に記憶の糸をたぐり寄せた

丹華は、目を閉じて、一心に記憶の糸をたぐり寄せた。 原田マハさんの翔ぶ少女より

脳の皺の一部と化して藤原の意識の奥深くに今も留まっているはずだ

その"最後の容疑者"であった内海一矢の名は、脳の皺の一部と化して藤原の意識の奥深くに今も留まっているはずだ。 横山秀夫さんのルパンの消息より

一枚の写真のように、勇作の脳裏に強く焼きつけられた

その場面は一枚の写真のように、勇作の脳裏に強く焼きつけられた。 東野圭吾さんの宿命より

瞼の裏に焼きついて、残像のように尾を引いていた

さっきの光景が瞼の裏に焼きついて、残像のように尾を引いていた。

目醒めの床の夢のように、思いたどるそばから遠ざかって行くのだった

しかしそれは、まるで目醒めの床の夢のように、思いたどるそばから遠ざかって行くのだった。 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより

母がこんがらがった記憶の糸玉を抱えて

兄のことを懐かしみ語り合う相手は、自分しかいないのだ。母がこんがらがった記憶の糸玉を抱えて、自分の帰りを待ちわびているような気がした。 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより

襞(ひだ)の一枚一枚を数えるような細かな説明

島田が極めて優秀な証人だったのは間違いない。死にかけた少女を発見するというのは非常に衝撃的な出来事だが、島田は冷静にディテールを覚えており、襞(ひだ)の一枚一枚を数えるような細かな説明は、最初から全く揺るぎがなかった。 堂場瞬一さんの長き雨の…

頭の中に書き込む

部屋の空気は冷たく淀んでおり、座っていると震えがくるほどだ。布団は用意してあるが、後で毛布を追加させよう、と頭の中に書き込む。 堂場瞬一さんの長き雨の烙印より

間違ったジグソーパズルの一片を無理に押しこんでしまったように

今回の事件のディテールは、確かに二十年前の事件と酷似していた。しかし微妙に違う。間違ったジグソーパズルの一片を無理に押しこんでしまったように、合わないのだ。その微妙な差異が、伊達の心に今も棘のように食いこんでいる。 堂場瞬一さんの長き雨の烙…

記憶の鶴嘴が、がつんと岩を噛んだ

そう言うそばから、次々と掘り起こされてゆく記憶の鶴嘴が、がつんと岩を噛んだ。 浅田次郎さんのおもかげより

澱のように凝り固まっている記憶だった

それらは古ぼけた制服の胸ふかく、たとえば機関車の油煙の匂いや炭ガラの手ざわりとともに、澱のように凝り固まっている記憶だった。ひとつの出来事を語るたびに、乙松の心は確実に軽くなった。 浅田次郎さんの鉄道員(ぽっぽや)より

辛い思い出を綿入れの懐にしまい

辛い思い出を綿入れの懐にしまい、乙松は襟をかき合わせて俯いた。 春になってポッポヤをやめたら、もう泣いてよかんべか、と思った。 浅田次郎さんの鉄道員(ぽっぽや)より

記憶のクローゼットの扉を開きます

暗い部屋の行灯のもとで手紙をしたためながら、私は記憶のクローゼットの扉を開きます。お気に入りの引き出しを開けると、そこから匂い立つのは、咲き誇るアゼレアの花。 原田マハさんの奇跡の人より

克子の言葉が繰り返し鼓膜の奥に蘇る

うちのコレクションにあった、モネの「睡蓮」ね。あれ、売却したのよ。母・克子の言葉が繰り返し鼓膜の奥に蘇る。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より

一輝の記憶の泉に、勢いよく小石が投げ込まれた。妖しい波紋が、一輝の中に一気に広がった

彼女を目にした瞬間、一輝の記憶の泉に、勢いよく小石が投げ込まれた。妖しい波紋が、一輝の中に一気に広がった。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より

その小骨のような記憶が、ぽろりと思考の中に落ちた

湯川の話を聞き、草薙の脳裏に何かが引っかかった。思い出せそうで思い出せない何か、知っているのに知っていること自体を忘れている何か、だ。 その小骨のような記憶が、ぽろりと思考の中に落ちた。草薙は息を呑み、湯川の顔を見つめていた。 東野圭吾さん…

記憶の引き出しにしまったはずの映像が、また網膜に、蘇ってきたのだ

テレビ画面に映像が映し出されると、村上は息を呑んだ。 記憶の引き出しにしまったはずの映像が、また網膜に、蘇ってきたのだ。 薬丸岳さんの闇の底より

記憶に定着しないまま、蒸発するように消え去っていた

夢の中で見た[ワシ]の横顔は記憶に定着しないまま、蒸発するように消え去っていた。 雫井脩介さんの犯人に告ぐ

白く靄のかかった記憶が、弱々しく形を作り始めた

「あんた、誰」 「私だよ、わたし」老人は自分の鼻の頭を指した。「この家の裏に住んでるイモト。昔よくあんたから、イモのおじさんって呼ばれたよ」 「イモのおじさん……」 伯朗の白く靄のかかった記憶が、弱々しく形を作り始めた。 東野圭吾さんの危険なビ…