有機食品とは
「有機農産物」
「有機畜産物」
「有機加工食品」
また、有機畜産物の飼料となる「有機飼料」についても併せて制定されている。
有機JAS制度では、有機農畜産物や加工食品の生産基準を定め、第三者機関である登録認証機関が、各生産者について、この基準を満たすことができるかどうか生産行程を確認て客観的に審査し、基準を満たせるとの認証を受けた「生産行程管理者」が、有機JAS規格に基づき生産した農畜産物や加工食品に、「有機○○」と表示すること、並びに有機JASマークを付することができます。
なお、海外において日本国内と同等の規格により生産された農畜産物や加工食品を輸入した場合も、有機JAS制度に基づき同じように表示することができます。
有機JAS規格における有機食品の生産基準
有機農産物
有機農産物の生産方法の基準としては、化学的に合成された農薬や肥料(使用禁止資材)の使用を避けることを基本として栽培することとされています。
○種まき又は植え付け前2年(多年生の植物にあっては収穫前3年)以上の間、使用禁止資材を使わずに栽培をほ場(水田や畑)で生産します。
○ほ場から出る農産物の残さに由来するたい肥等、認められた肥料や土壌改良資材だけで土づくりをします。
○ほ場や生産施設は農薬その他使用禁止資材で汚染されないように管理します。
○遺伝子組み換え技術は使用できません。
○収穫後も有機以外の農産物と混ざったり、薬品等により汚染されたりしないように管理します。
有機畜産物
有機畜産物の生産の基準としては、飼料は主に環境への負荷を低減して生産された有機飼料等を与え、野外への放牧等によりストレスを与えず、動物用医薬品の使用を避けることを基本として、飼育した家畜や家きんから生産することとされています。
動物用医薬品の使用については、疾病等で他に適当な治療方法がない場合を除き抗生物質やホルモン剤を日常的に飼料に混合して与えることは認められていません。
有機加工食品
有機食品には、一次産品である「有機農産物」や「有機畜産物」のほか、それらを原材料として加工した加工食品があります。豆腐や納豆のような「有機農産物加工食品」、ハムやソーセージ、牛乳のような「有機畜産物加工食品」、ミルクチョコレートのような「有機農畜産物加工食品」が、これに該当します。
有機加工食品の生産の基準として、水と食塩を除いた原材料と添加物の重量のうち95%以上が有機原材料であること、添加物の使用は必要不可欠かつ最低限の量であること等が定められています。
また、有機加工食品の原料はすべて遺伝子組み換え技術を用いていないことと定められていることから、5%以下の原材料であっても、遺伝子組み換え技術を用いた原料を使用することはできません。
有機食品の表示のルール
有機JAS規格に適合した食品には、有機食品であることを示す表示のほか、食品表示基準による表示が必要です。
したがって、「有機農産物」あるいは「有機栽培農産物」と表示する場合にあっては、併せて、一般的な名称および原産地の表示が必要です。
また、農産物及び農産物加工食品については、認証を受けた「生産行程管理者」が生産し、有機JASマークを付したものでないと「有機」「オーガニック」等の表示をすることができません。これは、有機JAS規格制度ができた当時、有機農産物については市場での表示の混乱が見られたため、有機○○と表示をする際は、有機JASマークを付することが義務化されたことによります。
一方、畜産物、畜産物加工品、農畜産物加工品に関しては、認証を受けた「生産行程管理者」が生産したものでなくても、有機JAS規格に定められた基準を満たす製品であれば、名称に「有機○○」と表示することができます。ただし、有機JASマークを付す場合には認証を受けた「生産行程管理者」であることが必要です。
なお、多くの有機農産物は無農薬で栽培されていますが、有機農産物には、JAS規格において使用が認められている農薬があります。緊急かつやむを得ない場合は、一定の条件で使用が認められているこれらの薬剤を使用することができます。
このため、有機農産物は必ずしも無農薬というわけではありません。したがって、「有機無農薬○○」のような表示は認められていません。
また、有機JASマークを付さずに、「有機栽培○○」のような有機農産物と誤認されるような表示をすることは禁止されている。
有機農産物と特別栽培農産物の違い
特別栽培農産物とは、それぞれの地域で一般的に使用されている節減対象農薬の使用回数及び化学肥料の使用量を通常の半分以下にして栽培した農産物をいいます。
農林水産省により2007年(平成19年)に改正された「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(これを「新ガイドライン」といいます)に、特別栽培農産物との表示を行う場合の生産の原則が定められています。
特別栽培農産物の新ガイドラインでは、
「特別栽培農産物○○○(農産物の名称)」
「このガイドラインに準拠している旨」
「栽培責任者の名称、住所及び連絡先」
「確認責任者の名称、住所及び連絡先」
等を一括して枠の中に表示することと定めており、さらに下記のような表示に関するルールが示されています。
①有機農産物JAS規格で使用可能な農薬は、節減対象農薬から除外する。
②農薬をまったく使用しない場合は「農薬:栽培期間中不使用」、節減対象の農薬は使用せずに栽培した場合は「節減対象農薬:栽培期間中不使用」と表示する。
③使用した節減対象農薬の一般名、用途、使用回数について、新ガイドラインによる一括表示とは別の見やすい場所にセットで表示するが、できない場合には、その他の情報の入手方法(ホームページのアドレスなど)を新ガイドラインによる一括表示欄に記載する。
④「無農薬」「無化学肥料」の表示は一切の残留農薬を含まないとの間違ってイメージを与えるため使用できない。
⑤「減農薬」「減化学肥料」の表示は削減の比較基準、割合や対象(残留農薬なのか、使用回数なのか)が、わかりにくいため使用できない。
有機農産物と特別栽培農産物の違い
特徴
有機農産物
・登録認証機関の認証が必要
・JAS規格の生産基準
(法的強制力あり)
特別栽培農産物
・生産者の自己申告
(マークについての規定はない)
・栽培ガイドライン
(法的強制力なし)
基準
有機農産物
種まき(植え付け)をする2年以上前から、化学合成農薬や化学肥料を使用していない土地で栽培されたもの(多年生作物は臭覚前は3年以上)等
特別栽培農産物
栽培期間中に、その農産物が生産された地域で慣行的に使用されている節減対象農薬と化学肥料の双方の使用を、半分以下にして栽培された農産物。
表示方法
有機農産物
「有機農産物」「有機栽培農産物」「有機○○」「オーガニック○○」等を表示
特別栽培農産物
「特別栽培農産物」と表示
・農薬不使用や使用量の削減を示す場合は、
「農薬: 栽培期間中不使用」
「農薬: ○○地域比○割減」等と表示