もう雪も雨も降っていなかった。色褪せた黄色いカナリアのような色の空が広がっている。
女性は、陽だまりでまどろむ猫のような表情を浮かべながら、両手で軽く抱きしめるようにコップを包み、京番茶の湯気を吸い込んでいる。色白ですずやかな一重まぶたが印象的な、美しい富士額だ。
私は素早く、ミツローさんの布団に転がり込んだ。体と体を、ひとつのそら豆のようにぴたりとくっつける。
銀杏の黄色が目に眩しい。あまりの光景に、ため息しかこぼれなかった。赤やオレンジ、黄色や黄緑の葉っぱが、視界いっぱいに広がっている。