さすがアンちゃん! 立花さんの声に、私は首を横に振った。
「立花さんや椿店長の知識があってこその、答ですって」
だって私の中身は ーそう、つぶやきかけたところで立花さんが私の頭に手を載せる。
「違うよ」
「え?」
「知識だけじゃダメ。それと目の前のものを結びつけることができなきゃ、それはただの情報。アンちゃんみたいに、自分で考えて答に近づいていくのがいいんだ」
「全部あっちが元祖、って言われてるみたいで」
儒教も、漢字もみんなみんなそう。近いから、文化が混じり合うのは当然だってことはわかってる。でも、じゃあオリジナリティってなんだろう? 日本らしさって?
つぶやく私の目の前に、立花さんが両手を突き出す。そしてふわっと、子供がお遊戯でするようなチューリップの形を作った。
「包み込むこと」
「え?」
両手が、空気を優しく包む。
「僕が思う日本らしさは、包み込むこと。相手を尊重して、いいところはどんどん受け入れる。それもただ真似するんじゃなくて、自分なりのアレンジを加えて包む。それってすごく素直でのびやかな感覚だと思うんだけど、どうかな」