ショーケースの端に置かれた、小さな笹。それにはすでに数枚の短冊が下げられている。
願い事か。この間までなら就職だったけど、とりあえずそれは叶ったし。次に願うとしたら、痩せることかなあ。
(いやいやいや! 痩せるのは願い事じゃなくて努力だから!)
私は短冊をポケットにしまうと、とりあえずそれを封印した。
期間限定の出店だというお菓子屋さんの分厚いクッキーは、一個二百円。普段なら買わない値段だけど、たまにはいいかと思って買ってみた。しかし壁際のベンチに腰かけてひとかじりすると、軽いがっかりが私を襲う。
こういうシンプルな焼き菓子に、私はバター以外の油脂を認めない。おいしさとカロリー、ついでにおいしさと日持ちを天秤にかけるのは間違っていると思うからだ。それにバターの香料なんておかしなものが入ってた日には、心底悲しくなる。