「今からでも遅くないから、三人で本当のことを話して、きちんと罰を受けようっていうつもりでした。そうしないと、俺たち、たぶんまともな人間になれないと思う」
加賀は、ぐいと顎を引いて悠人を見つめてきた。
「よくそのことに気づいたね。人は誰でも過ちを犯す。大事なことは、そのこととどう向き合うかだ。逃げたり目をそらしたりしていては、また同じ間違いをする」
加賀は無言だ。どう思っているのかが気になり、横顔を窺った。彼は真っすぐ前を向いたままだ。
「……口先だけだって思ってますよね、きっと」香織はいってみた。「世の中を甘く見ている、とか」
加賀が彼女のほうを向いた。「もし世の中を甘く見ているのなら安心だ。どこにも光がないと絶望しているほうが、余程心配です」