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二〇一一年三月十一日午後二時四十六分に宮城県沖で発生したマグニチュード9.0の大地震は、東北地方から関東地方にかけての太平洋側沿岸部に未曾有の被害を及ぼした。
その影響で教員数が減ったという地元教育委員会の声に応え、熱血漢の関西弁教師小野寺徹平は神戸市から遠間へ応援教師として派遣された。
震災後の子どもたちの抱えるそれぞれの苦しみや地元の人たちの苦難が各章でリアルに表現されていて、すべての章で、グッとこみあげてくるものがありました。
それでも、夜は明ける
六年生になる大樹は家族全員を津波で失い、大阪の親戚に預けられることになるのだが、大樹はこの小学校でみんなと卒業したいという。徹平はそれをかなえてあげようとある決意をする。
便りがないのは……
みなみは震災で兄を亡くした。その兄の遺体を洗い、遺品を届けてくれた若い自衛隊員とメールの交換をしていたが、ある日からメールがこなくなった。徹平は、それを相談されて自衛隊員を探しにいくことにしたが、辛い知らせを聞かされる。
雨降って地固まる?
小野寺は授業中にグラウンドで雨にうたれている大樹の姿をみつけた。理由をきくと、雨が降ると震災の嫌なことを思いだし苦しくなるからだという。
白球を追って
震災で練習ができなかった少年野球チームの遠間アローズにはエースと主砲の兄弟がいる。彼らのおかげで夏の大会は優勝候補だったが、その二人が父親の仕事の都合で大会前に大阪へ引っ越しすることになった。小野寺徹平はなんとか最後の試合だけでも出られるようにと考えるのだが、父親はそれを拒否する。
海は見えるか
生徒の数人が遠間の松原海岸を復活させようと署名運動に参加していた。
校長から参加していた生徒が呼び出され運動の参加をすぐやめるように言われる。
徹平が、なぜだときくと、松原海岸復活させるという署名運動は防潮堤建設反対することとイコールになる。それは県の決定事項を妨害する政治活動を生徒がすることになるからだという。
「日本の美しき松原百選」の景観を残すのか、未来の津波にそなえて防潮堤を建設するのか、難しい選択だ。
砂の海
徹平は南部優子の書いた絵を見て、心配になった。普段は力強い絵を描く彼女がモノトーンの弱々しい線で砂に埋もれた瓦礫やランドセルを描いていた。
南部優子は震災で小学校一年の妹を亡くしていて、自分だけが助かったことに苦しみ、楽しむことに罪悪感をもっていた。
戻る場所はありや
徹平の二年間の遠間の生活が終わろうとしている。阪神淡路大震災で妻と娘を亡くした徹平には、神戸でやり残したことがあった。