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プールの事故で助かる見込みがない少女瑞穂。
臓器移植するかは両親が判断しないといけないのだが、母親の薫子は心臓が動いている娘をみて、臓器移植に踏み込めなくなった。
脳死と言われても心臓が動いている以上死とは認められない親の気持ちだ。
しかし、外国では脳死=死、で臓器提供となる。
もし日本が臓器提供者が多く日本で臓器移植ができればアメリカに渡り高額な費用を支払わなくても助かる命があるのも事実だ。
日本も2009年臓器移植法改正によって家族の同意があれば臓器を提供できるようになった。しかし、改正後も子供からの臓器提供はほとんどない。
すごく難しい問題で、考えさせられながら、胸を熱くなり読みました。
親の子を思う愛情に心うたれること間違いなし。
おすすめの一冊です。
プロローグ
宗吾は小学校の帰りに通る「お屋敷」が気になって仕方なかった。中を覗きたいが、勝手に入る勇気はなかった。
ある時、被っていた野球帽が風に飛ばされ屋敷の中に入ってしまった。
宗吾は屋敷の中を覗くチャンスだと、帽子をとるために中に入った。
窓から覗くと赤いセーターを着た女の子が、車椅子に座って眠っていた。年頃は宗吾と同じくらいに見えた。白い頬にピンクの唇、長い睫。
宗吾は彼女のことが頭から離れなくなった。
今夜だけは忘れていたい
播磨薫子は、夫和昌の浮気が原因で別居している。
離婚間近だが、長女瑞穂の小学校受験が終わるまでは離婚出来ない。
薫子はこれからの生活への不安から睡眠薬を処方してもらっていたが、そこのクリニックの医師榎田博貴と知り合い、いつ男女の関係になってもおかしくない状態だった。
そんな時に、薫子に悲劇が襲いかかる。
瑞穂がプールで溺れて意識不明だと連絡がある。慌てて病院に行く。
医師進藤から聞いた瑞穂の容態は辛いものだった。
意識は戻ることはなく、延命処置をしている状態が続く。
進藤が瑞穂に臓器移植の意思があったか聞かれるが六才の子供にそんな確認をしているわけがない。
この場合両親が代わりに決めなくてはならない。
臓器移植に承諾すれば、脳死が確認された時点で瑞穂は死んだことになる。
薫子と和昌はどうするべきか悩んだが、優しい瑞穂なら臓器移植を選択するだろうと思い、臓器移植することに決めた。
しかし、
瑞穂との別れの時、瑞穂の弟生人が「おねえちゃん」と呼んだとき瑞穂の手が動いたように感じた。
そこで薫子は臓器移植をやめ、瑞穂は生きているから治療の継続を選択し、瑞穂を自宅で介護すると決めた。
呼吸をさせて
和昌は部下の星野祐也から横隔膜ペースメーカーをついて教えてもらった。気管切開して人工呼吸器を装着しなくても、手術によって埋め込めば呼吸することが出来る画期的な機器だという。
瑞穂は横隔膜ペースメーカーをつけることになり、それ以降、調子がよくなっていく。
次に星野の研究している脊髄を電気で刺激することによって体を動かすという装置を瑞穂につけることにした。
周りからは脳死した人間の体を動かすことに意味はないと言われるが、星野は、間違いなく薫子のためにはなっていると信じていた。
あなたが守る世界の行方
川嶋真緒は久しぶりに星野とデートするが、星野の態度が変わってしまったことを感じる。
この日も星野は仕事があるといって早い時間でデートを切り上げた。
真緒は一人タクシーで帰っていった星野を尾行した。
星野をのせたタクシーは豪邸の前にとまり、星野はその豪邸に入っていった。
表札を見ると「播磨」とあった。星野の社長の家だ。
後日、真緒は播磨宅に訪れる。何をするつもりもなかったが、薫子に見つかり、星野の恋人だと告げる。そして薫子から星野がこの家でやっている仕事を教えてもらう。
それを知った真緒は播磨宅から逃げ出してしまった。
本を読みに来る人
瑞穂は特別支援学校の二年生になった。学校に通えない瑞穂には、訪問学級と呼ばれる方法がとられた。先生が家に訪ねてきて、その子にあった授業をしていく。
一年の担当は米川先生という先生で熱心に瑞穂のためにやってくれた。
二年になり担当が代わった。新章房子という先生で、瑞穂に本を読んでくれている。薫子は新章は真剣ではないように感じた。
ある時、新章が本を読んでいる間、お母さんも一緒に聞いておくようにと言ってきた。
門脇五郎は友人の江藤哲弘の娘雪乃の臓器移植のための募金活動を行っていた。そこに協力させてほしいと女性があらわれた。その女性の名前は新章房子と名乗った。
門脇は歓迎したが、なぜ協力しようと思ってくれたのかは疑問に思った。
新章房子の言葉
「さっきもいいましたように、イスタンブール宣言には日本も同意しています。その流れで、移植臓器は自給自足、つまり国内で調達するという方針に舵が切られました。二〇〇九年の臓器移植改正法が、それです。改正によって、脳死した患者自身が臓器提供について明確な意思を示していなかった場合、家族が同意すれば臓器を提供できるようになりました。またそれまで認めなかった十五歳未満の子供からの臓器提供も、両親の同意があれば可能になりました。でも、改正以後も、子供からの臓器提供は殆どありません。決して脳死した子供がいないわけではないんです。両親が提供を拒んでいるのです。その結果、雪乃ちゃんのような子供は、国内では移植を受けられず、アメリカに行くしかない。国内で手術を受けるのなら、保険適用などで数十万の出費で済むはずのところが、二億円以上のお金がかかる。そんな状況がおかしい、と私はいっているんです」
この胸に刃を立てれば
薫子の瑞穂の介護を異常に思う者もいる。
すでに死んでいるのに、機械を使って無理に生かしているだけだ。薫子の自己満足だと思っている。
瑞穂の弟の生人は学校で瑞穂は死んでいるといじめにあっていた。
みんなが薫子の介護に疑問を持っていることに対し薫子は怒り狂う。瑞穂の胸に刃物を立て、瑞穂がすでに死んでいるのなら、わたしがここで瑞穂を刃物で刺しても殺人ではないのかと半狂乱のように叫ぶ。
その時を決めるのは誰
三月三十一日の夜中三時過ぎ、薫子は、瑞穂の部屋で眠っていた。だが、誰かに呼ばれたような気がして目が覚めた。そと時、すぐそばに瑞穂が立っていた。
和昌の携帯に電話があった。義母の千鶴子からだった。瑞穂の体調が急変して薫子が病院へ連れていった、という。
和昌はあわてて病院へむかった。
エピローグ
宗吾は引っ越しのため荷物を片付けている。心臓の病気のために病院の近くのマンションに住んでいたが病気が治ったのでもとの家に引っ越す。
臓器提供者がいないと助からないと両親も涙を流していたが、臓器提供者がいて手術は成功した。