直木賞作品『海の見える理髪店』荻原浩
おすすめ度☆☆
海の見える理髪店は楽しめましたが、他はちょっとわかりにくかったです。
全話、家族の絆がテーマです。
内容
短編小説六話からできています。
海の見える理髪店
年老いた主人が営む海辺の小さな町にある理髪店。
小さな町の理髪店だが大物俳優が昔この店主の腕に惚れたエピソードが話題になり、今予約もとりにくい理髪店となっている。
この理髪店にある思いをもった若者が訪れる。
登場人物は若者と店主の二人だけ。
店主の昔話などを若者が髪を切ってもらいながら聞いているだけですが、素晴らしい話になっています。
いつか来た道
弟から母親に会っておいた方がいいと言われ、しぶしぶ十六年ぶりに会いに行く。
弟と違い小さい頃から愛情を注がれず、きつくしつけられたわたしにとって母親は嫌な存在。
そんな母親も年老いてしまい自分の記憶に残る母親とは違っていた。
遠くから来た手紙
ちょっとしたことですれ違う夫婦。祥子は夫の孝之に不満を抱き、実家へと帰ってしまう。離婚するほどのことではない。
実家で亡くなった祖母の部屋で寝泊まりしていると、夜決まった時刻に戦時中のような文章のメールが届く。最初は孝之からのふざけたメールかと思っていたが違った。メールの届く時刻は祖母の亡くなった時刻だった。
空は今日もスカイ
複雑な家庭に育っていると思われる小学生の茜が冒険といって家出をする。そこで虐待にあっている男の子と出会い一緒に冒険に行く。
時のない時計
父親の形見の時計を修理するために訪れた古い時計店。
そこの年老いた主人と会話するストーリー。
時計の針を巻き戻したいことはありますか?
成人式
交通事故で十五歳で亡くなった娘の鈴音のことをずっと忘れられない夫婦。
生きていれば成人式だ。
鈴音に変わって二人は無謀にも成人式に出席しようとする。
自分達のため、娘のために。