薬丸岳さんを知ったきっかけは、神戸児童殺傷事件を彷彿させる小説が映画化されたと知り、調べたらそれが薬丸岳さんの『友罪』でした。
それから薬丸岳さんのファンになり、『刑事のまなざし』を読みました。
そして今回の『Aではない君と』を読みました。
この作品で一段と薬丸岳さんのファンになりました。
この『Aではない君と』を読み終わってすぐに、薬丸岳さんのを『ラストナイト』買ってしまいました。
『ラストナイト』も読み終えれば、また報告します。
おすすめ度 ☆☆☆☆
あらすじ
その時、中学生の息子の翼から携帯に電話があったが、すぐに出ることが出来なかった。
後でかけ直してみたが、翼は出なかった。
翼と同じ歳の中学生が殺害される事件があったことを知る。
その事件の日時が、ちょうど翼から電話のあった日だった。
その後
その容疑者として翼が逮捕された。
吉永は、動物好きな翼がそんなことするはずないと、警察に行くが、翼に会うことも出来ないし、逮捕された理由もわからない。
取り調べで、翼が自供したと知り、ショックを受ける。
何故、同級生を殺さなければいけなかったのか、あの時、電話に出ていれば、殺さずにすんだのか。
吉永の後悔と苦悩が続き、真相が明らかになっていく。
感動作です
仕事にかこつけて、翼としっかり寄り添っていなかったこと、翼のSOSに気づいてやれなかったこと、そんな後悔、無念さが伝わってきます。
翼は「父親から自分は愛されていない」と思っていることを知り、息子を愛する気持ちは誰にも負けないのに、それを伝えられなかったことが、今回の悲劇を生んでしまったんだと吉永は苦しむ。
吉永の無念や苦痛が伝わってきて、ドンドンと作品に入っていきました。
前半はお互いの愛情は深いのに、ひとつ歯車が狂ってしまったための悲劇かなと思いました。
後半には、翼がチャーハンをつくって吉永が食べるシーンなど父子の愛情に感動するシーンが出て泣きそうでした。
作品中で気に入った言葉がありました。
吉永が苦悩のなか、自分の父親に悩みを相談しに行った時に、父親が発した言葉です。
『物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ』