「64ロクヨン) 横山秀夫」おすすめ小説を読もう
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おすすめ度 3.8
横山秀夫さんのもう一つの代表作
『64(ロクヨン)』を読んでみたくなりました。
64(ロクヨン)とは、
わずか一週間しかなかった昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件のこと。
そして、14年たったいまも犯人は逮捕されていない。
警察庁長官が、時効間近の『64事件』の被害者の父親、雨宮芳男宅を弔問のため訪問することが決定した。
三上は広報官として雨宮芳男に警察庁長官訪問の報告と段取りをつける為に雨宮宅を訪れる。
しかし、雨宮芳男は長官訪問を断った。三上は雨宮の態度に警察への不信感、敵対心を感じた。
長官訪問は警察のPRの為だけだとわかっているのだろう。
未だに犯人逮捕できない警察に協力出来ないのも当然だろう、とも思う三上だが、広報官としての職務を全うしなければならなかった。
雨宮の心を閉ざしている理由を調べていくうちに『64事件』の捜査上に三上も知らないトラブルがあったのではないか、そして、そのトラブルを警察は隠蔽したのではないかと疑惑を持つ。
調査をする中で『幸田メモ』の存在を知る。これに捜査トラブルの秘密が隠されている、と三上は思った。
幸田とは『64事件』で「自宅班」にいた幸田一樹のことで『64事件』の半年後に退職している。幸田は隠蔽することに耐えきれず退職したのではないか、
そして、それをメモに残したのだろう。
そんななか、長官視察の前日に、64事件を模倣した誘拐事件が発生する。この事件により長官視察は中止になる。
警察は今回の誘拐事件解決に動き出す。『64事件』の模倣犯なのか、それとも『64事件』の犯人なのか?
ここからストーリーが一気に動き出す。
『64事件』の犯人は? 模倣した誘拐事件の犯人は?
そして感動の結末へ。
前半は少し読み進まなかったですが、ストーリーが動きだしてからは一気に読みたくなります。
書き出し
夕闇に風花が舞っていた。
タクシーを降りる足が縺(もつ)れた。ポリスジャンパーを着込んだ鑑識係員が、署庁舎の玄関前で待っていた。促されて署内に入った。当直勤務員の執務スペースを抜け、薄暗い廊下を進み、裏の通用口から職員用駐車場に出た。
霊安室は敷地の奥まった一角にひっそりとあった。窓のないバラック建ての小屋。低く唸る換気扇の音が「死体保管中」を告げている。鍵を外した鑑識係員はドアの脇に退いた。ここでお待ちします。
そんな控えめな目配せを残して。