意味は?
[ト・タル][文][形動タリ]広々として限りのないさま。広くて見当のつかないさま。「―たる海原」「―とした人物」
よろしいですね、と言われてもすべてが茫洋(ぼうよう)と雲を掴むような話で、何を質問していいのかもわからない。とりあえず思いつくままに椿山は訊ねた。
天に抜けた夜の闇は、やけに茫洋(ぼうよう)に感じられた。つい今しがたまでいたスタジオの明るさとの落差は大きかった。
神田那美子と向き合った僕のまわりを、茫洋(ぼうよう)とした長い時間が過ぎていく、そういう感覚に襲われた。
「黙っていれば結構イケてるのに、もったいない話」
「ですよねえ」
前を向いたまま、私と椿店長は茫洋(ぼうよう)とした会話を続ける。
人事部長が席に戻って来たのは、午後四時過ぎであった。挨拶すると、一見、茫洋(ぼうよう)とした掴みどころのない表情で、恩地を見た。
沈まぬ太陽 アフリカ篇 下より