キシナカレイジ、と今度は慎介が口の中で反復する番だった。その名前の知り合いはいなかった。だが脳の中にある何かを刺激する名前であることはたしかだった。それが記憶の中の、どの引き出しに入っているものなのか、慎介は必死で考えようとした。だが思い出せなかった。どうやらその名前は、「雑多なもの」というラベルを貼った引き出しの奥底に紛れ込んでいるらしかった。
キシナカレイジ、と今度は慎介が口の中で反復する番だった。その名前の知り合いはいなかった。だが脳の中にある何かを刺激する名前であることはたしかだった。それが記憶の中の、どの引き出しに入っているものなのか、慎介は必死で考えようとした。だが思い出せなかった。どうやらその名前は、「雑多なもの」というラベルを貼った引き出しの奥底に紛れ込んでいるらしかった。