同僚の奈菜と美和は、髪型がこれでもかってくらい縦ロールと夜会巻きにして、メイクはいつもの一・五倍の濃度だ。ドレスもキラッキラで、胸元もけっこうキワどく開いている。 原田マハさんの本日は、お日柄もよくより

女のひとが、タバコを指にはさんで笑っている。ショートカットに薄化粧、三十代後半くらいの、なかなかの美人だ。細身の黒いワンピースをさらっと着こなし、流行りの大ぶりアクセサリーをつけている。 原田マハさんの本日は、お日柄もよくより

顔が小さくて顎が細く、やや吊り上がり気味の目が印象的だ。 東野圭吾さんの魔力の胎動より

ぴったりとしたパーカーが、細身の体つきを一層華奢に見せていた。 東野圭吾さんの魔力の胎動より

階段の上の踊り場に、颯爽と現れたのは、我が妻・相馬凜子。 黒いイブニングドレスに純白のジャケット、襟元にはパールのネックレス。すっきりと撫で付けたショートカットの髪も凛々しく、長い選挙戦を終えて、生まれ変わったようにすっきりと、すがすがしい…

切れ長の細い目が瑞穂に向いた。やや下膨れで起伏に乏しい顔。それを補うかのように化粧はきつかった。タートルネックの白いシャツにジーンズ地のオーバーオール。前髪に金色のメッシュを入れ、耳にはピンク色のピアスが光っていた。 横山秀夫さんの顔(FACE)…

浅川久美子がニコルのワンピースをひらひらさせながら出てきた。いるのはわかっていた。顔を合わすたび嫉妬を強いる大きな瞳と肉厚の唇を持つ彼女は、日々その銘柄を変える香水の主でもある。 横山秀夫さんの顔(FACE)より

ディナーのために着替えたフォーマルなワンピースは、少し大きめに胸元が開いて、みずみずしい肌が夕日に輝いている。見てはいけないものを目にしてしまったような気がして、ティムは生真面目に顔を逸らした。 原田マハさんの楽園のカンヴァスより

まっすぐな長い髪に、切れ長の涼しげな瞳。白いブラウスに、黒いブリーツスカート。ほっそりした両腕を組んで、こちらをじっと見据えている。 原田マハさんの楽園のカンヴァスより

すらりと長身で、ウエストが締まった白い麻のパンツスーツを着ている。ウェーブのかかった長く豊かな濃い栗色の髪が、ふわりと風に揺れている。どことなくエキゾチックな顔立ち。 原田マハさんの楽園のカンヴァスより

「しっ」 長い人さし指でふっくらした下唇をおさえると、麻尋はそのまま人さし指を足元に向けた。 「聞こえない？」 名取佐和子さんのペンギン鉄道 なくしもの係より

肩にかかったまっすぐな黒髪からいいにおいがする。サイドと同じ長さまで伸びた前髪を大きな星のついたゴムでひとつに結び、むきだしになった額は滑らかなカーブを描いていた。 名取佐和子さんのペンギン鉄道 なくしもの係より

満里子はずっと不機嫌だった。ゴムで無造作にまとめた髪に、すっぴん。スウェット素材の上下という出で立ちは、まるで起き抜けのようで、こんな彼女を見るのは初めてだ。 柚木麻子さんのあまからカルテットより

雪子さんは、想像していたような、マドンナ然とした美女ではなかった。骨格のしっかりした、肩幅の広い、大柄な女性だった。真っ黒で硬そうな髪は、男の子のように短い。眉毛は太く、化粧気のない浅黒い肌に藍染めのシャツがよく似合う。 柚木麻子さんのあま…

ざっとカーテンが左右に開く。まばゆい光か、満里子のコーラ瓶みたいな体の線を浮かび上がらせた。 柚木麻子さんのあまからカルテットより

もともと整った顔立ちの清楚な美人だが、恋人ができてから一層綺麗になった。頬や唇がとろけるようなピンク色で、はっとするほど女らしい。 柚木麻子さんのあまからカルテットより

ノンちゃんと出会ったのは、そんな時でした。垣根の間から、ノンちゃんはそばかすと上を向いた鼻を覗かせ、まるでずっと前から友達だったように笑いかけてくれたのです。 柚木麻子さんのあまからカルテットより

半分だけ見えているクリス・リーの顔は青白く、目の下では隈が存在を主張していた。カチューシャで髪をまとめ、それがチャームポイントである秀でた額を見せていたが、神経質そうな頬骨の高さを目立たせることにもなっている。 堂場瞬一さんの血烙より

上から押し潰されたように小柄で、目が本来の二倍に見えるほど分厚い眼鏡をかけていた。 堂場瞬一さんの血烙より

透明感のある瑞々しい肌。切れ長の優しげな瞳。長い睫。少女と見間違うほど固く小さな口元。肉薄の鼻梁と小鼻が清楚な横顔をほどよく引き締めている。 横山秀夫さんのルパンの消息より

つぶらな瞳とふっくらした桜色の唇は甘くたおやかなのに、格好のいい顎やぴんと伸びた背筋には芯の強さと知性が感じられ、草原にすっくと咲くあやめのようだ。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

古風なブラウスとモスグリーンのベストにプリーツスカートの制服は、白い肌とつやつやした黒髪、すらりとした長身を最大限に引き立てていた。 柚木麻子さんの本屋さんのダイアナより

玄関で出迎えてくれた中年の女性は化粧気がなく、皺や白髪も目立つのに、透き通るように綺麗で汚れのない空気をまとっていた。紺色の眼鏡に長い灰色のカーディガン、あせた緑色のゆったりとしたパンツという地味な格好なのに、なんとも優雅で好ましい。 柚木…

大して起伏が豊かな体でもないくせに、堂々としているだけインストラクター風のコスプレがはまっている。 有川浩さんのシアター2より

コールドクリームで瞼を拭うと、別人のようなみち子の童顔が現れた。一重瞼の人形のような顔立ちが、真次は好きだった。 浅田次郎さんの地下鉄に乗ってより

「だけど、子連れの結婚式なんてみっともないでしょう」綺麗にアーチを描いた母親の眉毛が歪んだ。 堂場瞬一さんの長き雨の烙印より

マダムは小さな顎を掌(てのひら)で支えて、雪の夜を見つめていた。いくらかなごり惜しそうな表情だった。 浅田次郎さんのおもかげより

女性は、陽だまりでまどろむ猫のような表情を浮かべながら、両手で軽く抱きしめるようにコップを包み、京番茶の湯気を吸い込んでいる。色白ですずやかな一重まぶたが印象的な、美しい富士額だ。 小川糸さんのキラキラ共和国より

薄茶の無地の和服に灰色の帯を締めた、白髪交じりの中年女性が俺たちを冷ややかに見つめている。鼻と頬骨が尖っていて、目つきがやけに鋭い。 ビブリア古書堂の事件手帖2より

秋だというのにこんがり日焼けした肌と、ポニーテールにした伸びかけの髪。南国の海辺が似合いそうな風貌だ ビブリア古書堂の事件手帖2より