女性の外見の描写をおすすめ小説から学ぶ
間近で向き合うと、下まぶたの分厚い大きな目と、互いに鼻梁のすっきりとした線が一際目を惹いた。朝だけに、香水の匂いもまだ固かった。 平野啓一郎さんのある男より
オフショルダー気味のルーズなブラウスに足首の見えるジーパンという気楽な格好だったが、スタイルがいいのでよく似合っていた。 平野啓一郎さんのある男より
美涼は、「趣味」で働いているという言葉通り、嬉しそうに白い歯を見せた。そして、ずれ落ちて、鎖骨の凹みをしどけなく覗かせていたニットの襟を摘まんで元に戻した。小さなダイヤのネックレスが、照明を反射して装飾音のように煌めいた。 平野啓一郎さんの…
スタッズのついた黒いキャップを被っていて、耳にかけた明るめの髪が、華奢な肩に垂れている。中高のすっきりとした顔で、グレーのカラーコンタクトの入った眸(ひとみ)が、唇と共に艶々していた。 美人だな、と城戸は正直に思った。ゆったりとした黒いニット…
そして、花がしおれるような自然さでうつむく。華奢なうなじに骨が薄く浮かぶ。 七月隆文さんの天使は奇跡を希うより
その横顔が。 ひたいから鼻筋、うすい唇から細いあごの線が。 潤んだ瞳の艶やかな黒さと光が。 突然、とても美しいものに感じた。 七月隆文さんの天使は奇跡を希うより
ちょっとおどけた声で、上目遣い。軽く首を傾げると、肩にかかる長さの髪がさらりと流れた。 七月隆文さんの天使は奇跡を希うより
煙草を灰皿に置き、華江が深く溜息をついた。濃い茶色に染めた髪は、根本の白さが目立つ。化粧でも皺は隠せず、赤い口紅だけが毒々しく浮いていた。疲れている。 堂場瞬一さんの疑装より
小学生の高学年ぐらいで、腰までの短いダウンジャケットで上半身が膨らんでいるせいか、ジーンズを穿いた足の長さと細さが際立つ。 堂場瞬一さんの疑装より
平野瑞穂。巡査を拝命して五年目の二十二歳。今風の小顔美人だが、色素が薄いとでもいうのだろうか、瞳も髪も茶系色、総じて淡い印象の娘である。 横山秀夫さんの陰の季節より
つやのある黒髪は短めのボブ。細すぎない眉、高すぎない鼻、厚すぎない唇は整ってこそいるものの平凡だが、丸顔に黒目がちの目がどことなく愛嬌のある印象を醸し出す。小柄な体にまとう制服は、前回と変わらない。 岡崎琢磨さんの珈琲店タレーランの事件簿よ…
いつもは紫紋より三十分遅く出勤するマリアが、目の前に現れた。ふいに胸が鳴った。真っ白なノースリーブのワンピースを着て、長い髪をさっぱりと結い上げている。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより
マリアは、紫紋の少し先を歩いていた。無造作に結んだ長い髪が、ダッフルコートを着こんだ背中の上で揺れている。月光を弾いて跳ねるつややかな魚のような動きをみつめながら、紫紋は黙って彼女の背中についていった。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより
目鼻立ちの整った顔だ。年の頃は三十くらいだろうか。若い頃にはない落ち着きと陰影が細面をいっそう美しく見せている。思いがけなく名画を見た気分で、紫紋はむさぼるように彼女の顔をみつめた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより
洗いざらしの七分袖のシャツに、膝丈のプリーツスカート。すらりとした背中に、無造作に結んだ長い髪の束が垂れている。つややかな黒髪が揺れるのを紫紋の目が追った。伏し目がちの顔がカウンターに向かい合う。水道水を流す音がし、食器を洗う音がし始めた。…
その人は一心に手もとに視線を落として、ちらりともこちらを見ない。どこか楽しげな表情が色白の顔に優しく広がっている。紫紋は何か話しかけようとして、なかなか口を動かせなかった。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより
真知子はベージュのパンツスーツに身を包んだ細い体を車に滑り込ませた。 横山秀夫さんの動機より
美しかった。顔をすべて晒した潔い髪形。油断のない化粧。ベージュ色のタイトスカートが体の線を強調し、白いハイヒールを無理なく履きこなしていた。 横山秀夫さんの動機より
髪はすったばかりの墨みたいに黒くて長くて、手足はすらっと細くて、目は輝いていて、唇は今つくったばかりっていった具合に小さくて柔らかそうなの。 村上春樹さんのノルウェイの森より
ひょろりとやせて乳房というものが殆どなく、しょっちゅう皮肉っぽく唇が片方に曲がり、目のわきのしわが細かく動いた。いくらか世をすねたところのある親切で腕の良い女大工みたいに見えた。 村上春樹さんのノルウェイの森より
僕は直子の一メートルほどうしろを、彼女の背中とまっすぐな黒い髪を見ながら歩いた。彼女は茶色の大きな髪どめをつけていて、横を向くと小さな白い耳が見えた。時々直子はうしろを振り向いて僕に話しかけた。 村上春樹さんのノルウェイの森より
白髪をうっすらと紫色に染めて、上品なベージュの着物に身を包んでいる。テーブルの上に揃えられた手には、何カラットくらいあるのだろうか、イエローダイヤモンドがごろりとのっかったリングが光っている。くぼんだ目が、じっとこっちをにらんで、いやみつ…
写真の中ではTシャツ姿の若い娘が指を二本立てて笑っていた。目元がくっきりとしていて顎は細く、唇は少し厚い。 東野圭吾さんの沈黙のパレードより
輝くブロンドの長い髪、すらりとした長身にシフォンのドレープがエレガントなベージュのブラウス、膝小僧が見える黒いタイトスカート。豊かな胸と腰回りに絶妙にフィットして、スタイルのよさを際立たせている。抜けるような白い肌とブルーの瞳。整った眉と…
抜群のスタイルを誇示するような、サイズ小さめのナース服。きゅっと結い上げた髪によって露になる、顎から首筋へのシャープなライン。そしてちょっと意地悪そうな眉に、ぽってりとした厚めの唇。ラテン系の美人とでも言えばいいのだろうか。 坂木司さんのシ…
入ってきたのは見たことのある女だった。少し目尻の下がった目と、ぽってりとした唇が印象的だ。由佳という名前だけは覚えていた。彼女は白い薄手のコートをボーイに預けた。コートの下には身体のラインがくっきりと出るブルーのワンピースを着ていた。 東野…
店内の乏しい明かりが彼女の顔を斜めから照らしている。陶器のように白く、滑らかな肌だった。 東野圭吾さんのダイイング・アイより
麻由子は柵を背にして立っていた。薄いブルーの半袖のジャケットを着ている。同じ色のキュロットから、細い足が伸びていた。 東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーより
直井雅美は、ピンクのポロシャツにジーンズという格好で喫茶店に現れた。長い髪はポニーテールにしている。そしてスポーツ選手が持つような大きなバッグを肩から提げていた。 東野圭吾さんのパラレルワールド・ラブストーリーより
女性にしては長身なほうだろう。瓜実顔で、大きな目はやや吊り上がっている。 東野圭吾さんの禁断の魔術より