2021-01-25から1日間の記事一覧
「なんか、女の人に声かけてなかったか?」 心臓が跳ね、一瞬にして毛穴が開く。そこまで見られてたのか。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
水面が風に震えて、白い鱗(うろこ)模様を浮かべている。すぐに鯉が何匹も泳いでいた。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
鼻筋がなめらかに通っていた。薄くてぴんと形のいい唇も、顎のラインも、頬も、ぜんぶがやわらかで品のある線で描かれている。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
にこりとする。白くて綺麗な歯並びが見えた。 福寿さんはなにげなく前に向き直って、少し遠いまなざしで空を仰ぐ。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
彼女の緊張が緩んだのを感じた。 その顔に、微笑みの前の前くらいのものが朝靄のようにかすめた。 言うべきことが尽きて、ぼくは黙る。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
「一目惚れしました!」 彼女の表情は動かない。と思うと、小さく唇が動く。「えっ」と言ったふうに見えた。 ぼくは視線を一瞬横に滑らせる。まわりには誰もいない。よかった。また彼女に目を戻す。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
ぼくのことを多少覚えていたんだろう。瞳にそんな色が浮かぶ。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
「あのっ」 真後ろから声をかけたとたん、彼女のなだらかな肩がふわりと漣(さざなみ)をうつ。 ……私かな? というふうに振り向いてきた。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデートするより
彼女はそれほど背が高くないから、ぼくには顔がよく見えなかったのだけど、そのすとんと落ちる綺麗な髪や、可愛らしいけど、品のいい服装や、何より全身からにじんでる空気が「すごくかわいい子の予感」をさせた。 七月隆文さんのぼくは明日、昨日のきみとデ…
希望病棟 (小学館文庫) 作者:美雨, 垣谷 小学館 Amazon 以前の自分なら、アキラの立場でも牧田の立場でも、ずっと恨みに思い続けたはずだ。だけど、そんな狭量な自分を卒業しようと思った。癌を克服して新しい命をもらったのだから、小さなことにいちいちこ…
希望病棟 (小学館文庫) 作者:美雨, 垣谷 小学館 Amazon おすすめ度 3.3 感動する ☆☆☆ 笑える ☆ スリル ほっこり ビックリ ☆☆ 先が気になる ☆☆☆ ためになる ☆☆☆ 心に残る ☆☆ 切ない ☆ 怖い 重い ☆ すいすい読める ☆☆☆☆ あらすじ 「後悔病棟」の続編。 「後悔…