夏の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ
相変わらず脳天を焦がしそうな暑さだ。じめりとして熱風が海の方角から吹いてきた。かすかに磯の匂いが漂っている気がする。
半袖の白いシャツの背中が汗でぴったり貼りついている。セミの声がうんざりするほど近い。あちこちに植えられた紫陽花はまだ散っていないのに、梅雨明けと同時に夏が始まっていた。
日差しはもう夏に近い。窓の外に覗く空には、積乱雲が元気に伸び上がっている。
いい日和りだ。
岡野と一緒の帰り道。まだまだ日が長くて、ゆっくり暮れていく夕方が嬉しくなる。七時を過ぎてるのにあほみたいに明るい空。時間の猶予がまだたくさんある気がする。夏が真ん中に向かっていく。
軒下に吊るした南部風鈴が、チリンチリンと揺れている。
涼しげなのは音だけで、夜になっても気温は一向に下がらなかった。
クルマから降りると、オーブンに入ったような気分にさせられる。雲一つない空からの直射日光と、それを上回るほどに強烈なアスファルトの照り返しが、ほんの数歩歩いただけでも気力を奪う。
東京はもう夏の陽気だった。コンクリートの地面から照り返しが、脛をじりじりと焦がし、風がないため熱気が公園全体に溜まっている。汗が顔に浮かび、呼吸も荒くなってきた。
午後の授業中、暑いなと思って校庭にふと目をやると、地面にゆらゆらかげろうが立っていた。
もう真夏日の予報が出ることも珍しくない季節である。
雲も見当たらない青空の下、初夏の穏やかな風が感じられた。木々に囲まれ、芝生が綺麗に敷き詰められており、入院患者たちが散歩を楽しんでいる。
遥か東の空には筋肉ムキムキな入道雲が湧き立ち、コバルトブルーの夏空の真ん中を、白い飛行機雲がスパッと切り裂いていたのだ。
夏の渓谷を渡る川風は、清々しくて、豊かな森の匂いがした。
そこから目と鼻の先にある神社では蝉が大発生していた。ミンミンゼミの鳴き声が幾重にも重なり合い、底抜けに明るくて能天気な不協和音を町中に響かせているのだ。
今日も朝から真夏の太陽が沸騰した。
気温は打ち上げ花火のようにビューンと一気に上昇していき、午後になると、もはやアスファルトを溶かしそうな勢いだった。
午後の授業中、暑いなと思って校庭にふと目をやると、地面にゆらゆらかげろうが立っていた。
もう真夏日の予報が出ることも珍しくない季節である。
八月の最終日。太陽は今日もげんこつみたいな陽光をアスファルトに叩きつけていた。