食べる、美味しい表現、描写を小説から学ぶ
葛きり美味しさの表現 さらに出された葛きりはシロップに柚子の風味がつけられていて、呑み込んだあとまでさわやかに香る。 坂木司の和菓子のアンより
美味しそうなフレンチトーストの表現 喜びなさい、とばかりにお母さんは私にお皿を突き出す。黄金色に焼けたほかほかのフレンチトースト。ミルクとバターがたっぷりで、シロップの代わりにマーマレードがどかんと添えられている。 坂木司の和菓子のアンより
リンゴの味の表現 直貴はハンカチで手を拭いてからリンゴを摘まんだ。口に入れるとほんの少し塩味がして、かみ砕くと甘さが広がった。おいしい、と彼は素直に感想を述べた。 東野圭吾さんの手紙より
果物文旦の描写をおすすめ小説から学ぶ 自宅に戻ってから、リビングのテーブルの上に文旦を置き、まじまじと眺めた。赤ん坊の頭ほどもある大きな果実は、まだ皮を剥いていないというのに、柑橘系のさわやかな香りをほんのりと漂わせている。果実を傷つけない…
母がピンク色の肝を取り出し、生のまま醤油に溶かす。それがタレとなるらしい。 「澪ちゃんのママのお薦めによると、このタレにカワハギの刺身をつけて食べるんやわ」 「ひと切れ味見させて」 母と二人で台所に立ったまま、手でつまんで食べてみた。白身なの…
熱いコーヒーが冷えた五体のすみずみに滲みわたる。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽より 濃紺の器は小ぶりだが、それ故「ぎっしり入っている」感じが強い。照りの強い叉焼が四枚、それに加えていかにも辛そうなひき肉が乗っている。メンマは最近よく見かける、長…