葵から聞いた小此木の番号にかけると、すぐに相手は出た。と、同時にざらついた喧騒が耳に突き刺さった。居酒屋にいるらしく、生ビールの数を復唱する甲高い声が聞こえる。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

『なにやったんだよ、お前』 ちりっと首筋の毛が逆立つ。嫌な予感がした。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

我に返ると、まるでジャンプしたみたいに時計の針が進んでいた。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

彼の顔はにわかに引き締まった。自分の胸の内を深く探るように、沈んだ目を空中に向けている。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

「……西浦富士子は、他界しました」 そう告げた途端、老女の顔からするりと表情が抜け落ちた。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

小柄な年配の女性が写真館に入ってきた。白髪はきれいにセットされていて、カシミアらしいベージュのセーターの上に、あざやかな朱色のストールを羽織っている。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

灯台もとっくに完成していた。ごつごつした鉄筋の階段がまとわりついている懐かしいデザインだった。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より

四人の男たちは全員長身で髪が短い。くっきりと整った顔立ちで、意志の強そうな黒々とした眉が印象的だ。 三上延さんの江ノ島西浦写真館より