じわっと口の中に唾液がこみ上げる。急に痛いほどの空腹を覚えた。無意識に腹を片手で押さえながら、紫紋は吸い寄せられるように戸口に近づいた。手を伸ばして横に引くと、拍子抜けするくらいすらりと戸が開いた。
とたんに、いっぱいのかつおの香りに包まれた。醤油と砂糖が絡んだ甘い香りと、鍋の中でやわらかく何かが煮詰まる音。紫紋は室内を見渡した。
じわっと口の中に唾液がこみ上げる。急に痛いほどの空腹を覚えた。無意識に腹を片手で押さえながら、紫紋は吸い寄せられるように戸口に近づいた。手を伸ばして横に引くと、拍子抜けするくらいすらりと戸が開いた。
とたんに、いっぱいのかつおの香りに包まれた。醤油と砂糖が絡んだ甘い香りと、鍋の中でやわらかく何かが煮詰まる音。紫紋は室内を見渡した。