2020-12-26 買いそびれた人々の声が、大きなひとつの溜息になった 声の表現、描写をおすすめ小説から学ぶ 「たのむ、入れてくれ!」 そう叫んだとき、無情のベルが鳴った。発売機は作動不能の呼音を残して停止した。 「あ、お客さん、申しわけありません。締め切りました」 買いそびれた人々の声が、大きなひとつの溜息になった。 浅田次郎さんの日輪の遺産より